レベル・セブン;我々は天皇陛下の赤子ではない。日本国民である

    ようやくマスメディアでも、水素爆発が3月11日夜の出来事として公認されてきた。それで、諸外国は何時この事実を掌握していたのか、ということを知りたくてウエッブを探したら面白い記事があった。まず見つかったのが、中国が軍の病院船の派遣を3月15日には申し出ていたことが4月8日付けの石平名の論文で明らかになった。
    実は不肖、私が水素爆発のリスクが極めて高いことを世間の多くが前提にしていることを確信したのは、4月1日の朝のテレビ番組を見ていてだった。
それは自衛隊から参議院に天下った人が、両脇にお付を従えてテレビの画面でにこやかに笑っている場面から始まった。そして当人ではなく脇にいた付き人が語ったのは、イスラエルからの医療救援チームの受け入れを外務省が逡巡していたのを政治主導で押し切って岩手県に導きいれたのだという自慢話だった。
    それで、前日のNHKのニュースで写されたイスラエル放射線汚染現場での訓練を十分に経ている軍人が中核になっているイスラエルの救援チームの真の狙いがやっとわかったのだった。もちろん彼らは水素爆発の惨状に対していち早く救援活動を展開すると同時に、イランやその他の核攻撃に対する実地のシュミレーション・データをえるというもう一つの目的があったのだ。
   さらに言えば、彼らはイスラエルの諜報員としてではなく、公然と日本国内に入国する必要があった。それは彼らの採取したデータがイスラエルの国会でも通用するキレイな情報である必要があったからである。そうであれば、そのデータはIAEAでも採用することが出来る。
    そして二週間後にIAEAはレベル7を採用した。日本のメディアは「何故、今頃になって」と疑問を投げかけたまま、思考停止している。理由は簡単だ。エビデンスを入手したからだ。無人偵察機では手に入らないデータが手に入ったのは現場へ入った人間がいたからである。蓋然性が最も高いのはイスラエルの派遣した軍人専門家集団である。



    だが、今、自民党が仕掛けている政争をみてまたあきれている。彼らは外国に利用されることを喜ぶ能力しかないだけでなく、外国が目をひそめていることにも気がついていない。
    保安院のだした「レベル7」の意味に気がついていないのだ。
    それは16日の午前中の田原総一郎の番組に出ていた、自民党の仕掛けた政争の使い走りをやっていた朝日新聞の人間も同じレベルだ。
  同様に、「週間ダイヤモンド」の常連ライターが菅政権のことを「大本営発表」だと難詰している。
">また、民放テレビを中心に大手メディアも、その「大本営発表」にまんまと乗っかり、誤った自説にこだわることで嘘をつき続けてきた。
http://diamond.jp/articles/-/11888?page=5"

だが、データはすでに出揃っている。

    今までに放出された汚染はチェルノブイリの1割(保安院発表)で、11日に水素爆発をした福島で溶融が始まっている可能性のある汚染物質はチェルノブイリの十倍(3月16日朝日)である。つまり冷却に失敗して亀裂の入った炉の中にはチェルノブイリの9.9倍の汚物が残存している。
    東芝は、菅首相が「10年か20年住めなくなる」と言ったとかいって自民党がわめきだすより、1週間前に汚染除去には早くて10年かかると言っている。そして当日東芝はわざわざ社長会見を開いて同じことことを繰り返している。つまり専門家が10年から20年かかると言っているのだ。それだってチェルノブイリでは半永久的に汚染を除去しないのであるから、10年でやるならば天文学的費用になるだろう。それを国民が負担したいと判断するのかも未知数だ。
    しかも、それは一番いいシナリオの場合には水蒸気爆発も海洋水汚染もなしに行える、ということである。最悪の場合は水蒸気爆発を起こして風下200kmはチェルノブイリ同様にevacuate地帯になるべきだということだ。
     200kmにまで放射能が到達するには数時間かかるだろうから外国人の場合はとりあえず関西に逃げればいいけど、日本人はどうすればいいのか。今回飯館村は1ケ月かけての計画避難となったが、200km圏の避難となったら、どのようにマネージするのだろう。考えただけでも吐き気がしてくる。
    だったら、自分で考えて自分で判断するしかないだろう。
    政府には、そういう事態をさける最善最大の努力をすることしか約束できないであろう。人知と人力を超えたことには政府といえども責任は取れない。だからこそ、情報開示が最小限の義務なのだ。
   はっきりしているのは、政争に明け暮れている時期じゃないということだ。政府がやるべきはデータの提供であって、決めるのは国民である。その一点が自民党にはわかっていないのではないか。ここは大日本帝国ではなく日本国なのだ。データの提供は総理と官房長官からとだけ決まっているわけではない。外国のメディアも国内で発禁になっていない以上国民に開示されている情報の一つである。
    もっとも、某隣国政府の要人は「福島の炉心がすべて溶融しても、わが国の人々が直ちに健康に悪影響があるわけではない」と言ったといわれている。某大学の放射線の専門家も「甲状腺がんになったからって死ぬわけじゃない」と言っているようである。原発至上主義に立てばそういうことだ。ジハードであれば何人殺してもかまわないのと同じ心性だ。
     だが、決めるのは国民である。たとえ無責任な政治家と無能なメディア専門家しか得られないとしても国民は自ら判断しなければならない。政治家のように首相の無能ぶりを難詰していればすむというわけにはいかない。国家の主権は国民にあるのであって、政治家やメディア人の掌中にあるわけではない。


    それにしても、西日本の原発を抱えている知事諸氏は何をしているのだろう。未だ避難計画の作成・訓練計画の着手が始まった話を聞かない。通産省は銀行に対する警察庁のように電気会社に安全安心のための方策の指示を出している。だが、どんなに金を積み上げたって、人間はミスを犯す。どんなに大掛かりな堤防を築いても、それでも津波はそれを乗り越えてくる。
    今回の原発報道を見ていて不思議なのは20KM圏内からの避難者が着の身着のままで、鍵もかけずに避難していると胸を張って、テレビで語っていた福島県選出の国会議員がいたことだ。かれらは原発事故を想定した退避訓練のマニュアルを作っていなかったのだろうか。原発事故で緊急避難となれば除汚染がすむ間、つまり当分は帰宅できないのは常識であろうに。
    そしてフジテレビ系列の報道番組で「だまされた」と、被害者を装っった。さすがにキャスターにたしなめられて涙を見せたり、それ以上の暴言は飲み込んだが、彼らはすべての情報を手にする権限を持っていたのである。それを見ようとしなかったのは彼らに能力も意欲もなかったからである。
   だが、近所には車で避難してきた家族が一軒家をかりて住み始めている。沖縄県は1500人の受け入れを表明している。移った家族の紹介もNHKの沖縄放送でなされている。東京局の放送では、そういう事実はすべからく隠されている。

判断・断定するのは、大部分が高等学校を卒業している国民の一人一人だ。