直示辞対「こ・そ」と日本語の階層

新潮社のメルマガ「考える人」に若手の言語学者のエッセーが連載されている。ここで「は・が」についてかなり安直な記述があると思っていたら、次は「タ」「コレ」などについての記述がはじまった。直示辞対「コ・ソ」についてはここでさんざん議論してきた…

雅俗融和から雅俗反転へ

2019年以来2年ぶりの投稿です。 2018年の『狂歌絵師北斎とよむ古事記・万葉集』 2020年の『百人一首の図像学――狂歌絵師北斎 最後の大仕事』に続いて 2021年に『文化史よりみた東洲斎写楽―なぜ寛政六年に登場したのか』と上梓して やっと私自身、自分の書きた…

詩哥写真鏡 北斎

千葉市美術館のHPによれば葛飾 北斎の「詩哥写真鏡」は10枚ある。50.9x22.9cmの長大判錦絵で製作年代は天保4~5年(1833~34)頃。和漢の詩歌に発想の契機を求めた揃物であるが、絵の構想そのものは北斎流に自在に巧んだものが多い。本邦歌人絵5、無名氏3、…

北斎の「百物語」は5枚しかない

以下の5枚である。 ・お岩さん・皿屋敷・笑ひはんにや・しうねん・小はだ小平二 「百人一首姥がゑとき」の方は27枚が知られているが、版元が二つあり、そのうち西村屋与八からは5枚が上梓され、残りの22枚は新興の伊勢屋三次郎から出ている。もっとも店名は…

北斎の「江戸六景」か

オランダのライデン国立民族学博物館に所蔵され、長く作者不明だった6枚の絵が江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)による西洋風肉筆画だったことが、昨年判明したという記事に出てくる六枚は江戸の風俗浮世絵であるが、1枚だけは原画は…

物実・実物

訓「実さね」が導入された最初は古事記のアマテラスとスサノオの誓約の場面。「於是天照大御神、告速須佐之男命「是後所生五柱男子者、物實因我物所成、故、自吾子也。先所生之三柱女子者、物實因汝物所成、故、乃汝子也。」如此詔別也。」 スサノオの剣から…

さねかずら(真葛・実葛)

抄25 名にし負はば 逢坂山の さねかずら 人に知られで 来るよしもがな 百人一首の中でも人気の三条右大臣の歌の中の歌語である。 『小倉百人一首;田辺聖子;角川文庫』によれば三条右大臣の本名は藤原定方で、父親の高藤は山科で狩の途中に雨宿りをした屋敷…

北斎の『百人一首姥がゑとき』は本当に27枚しかないのか?

2018年3月に上梓した拙著『狂歌絵師 北斎とよむ古事記・万葉集;批評社』 「サブタイトル;北斎はどのようにして百人一首を27枚に要約したのか?」 について、本書は北斎の錦絵は現在見つかっている27枚をもって完成したシリーズとみるべきと主張した。 だが…

百人一首抄(宗祇抄)から堀河院御時百首和歌へ

拙著『狂歌絵師北斎とよむ古事記・万葉集』で参照してきた『百人一首抄(宗祇抄) 吉田幸一編 笠間書院(1969)』に対してほぼ50年ぶりに別系統の影印本が出たので比較してみた。 予想通り、両書の仮名遣いが異なる。というのは笠間書院のは印刷本だから江戸…

未通女と處女

拙著『狂歌絵師 北斎とよむ古事記・万葉集』で「處女・未通娘」の語義解を行っている(p174、180)が 私が若かったころの女性の初潮とひきつづく月経について風俗に変化が起きているようでいて起きていないようでもあるので、『生理用品の社会史;田中ひかる…

ロムルス数とヌマ数とユリウス数

拙著『狂歌絵師北斎とよむ古事記・万葉集』の論考の土台となった数章であるロムルス暦とヌマ暦についてwikiで混乱があるようなので執筆時に参照した国立天文台の現在の記述をコピーしておく。 ロムルス暦 ロムルスはローマを建国したとされる伝説の王です。 …

小倉百人一首・百人一首抄(宗祇抄)・百人秀歌

拙著『狂歌絵師北斎とよむ古事記・万葉集』ので参照してきた『百人一首抄(宗祇抄) 吉田幸一編 笠間書院(1969)』について、本文での記述を編集の過程で削除した結果、参考文献にも掲載し忘れたのであるが、三弥井書店から別系統の伝本の影印と解説『百人…

西洋修辞学でいう交差配語法について

「説文解字・六書」の解読法;http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20171230」の続き 日本語ネイティブではない日本文学研究者の和歌観を知りたいと思って『心づくしの和歌;ツベタナ・クリステワ;2011』を手に取ってみたが、題名の通り日本人読者の期待を裏切ら…

「説文解字・六書」の解読法

『漢字;朝倉書店;2017』を手に取って「第一章;成り立ちから見た漢字」の「2節;漢字の構成」を読んでいて、「六書分析」に情報理論の観点が欠落していることに気が付いた。つまり、六書が高度に圧縮された文字群であることがわかっていないので訓読で処理…

天の川は川でなく円環だ(その2)

北天でみえるカシオペア五星に注目すると南天では天の川は二つ見えることになる。東の空に昇ってきたカシオペア座から流れてくる、幅の広いいかにも大河の形象と西の空に降りていく五星から流れてくるほっそりした川の形象の二つである。それぞれを沼沢と奔…

天の川は川でなく円環だ

『天文の世界史;廣瀬匠』のp190にある記述はいろいろおもしろい。同書ではプトレオマイオス(ad.83 168年頃エジプトのアレキソンドリアで活躍)はすでに気が付いていたし、ビールーニー(973〜 1048;アラビア)も気が付いていたとある。さらにそれ以前にアリ…

千字文と論語

「祝辞と祝詞 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20171004」の続き 古事記の「応神天皇の時に百済から論語と千字文がもたらされた」という記述についても 「論語など」と延伸して解釈するべきではないかと考えた。とすればこの段階で 「論語・兵法が体系的にも…

祝辞と祝詞

「祝言・呪咀 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20070925」の続き 「祈りと呪い http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20060601」上野の東京博物館に行った時の印象を書いた9月10日のtweet以来、気になっている「呪・祝・祈」の弁別について、「祝詞・祝辞」の弁別か…

2017年08月31日のツイート

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関東人の視野狭窄 vs 畿内人の視野狭窄

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昨日のツイート

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母語か母国語か(その4);クイア理論という奇妙な用語

SNSで「クイア理論」という耳慣れない用語が出てきたのでwikiで調べたら以下の文が出てきた。思想的な背景;クィア理論の誕生に大きな影響を与えた思想家の一人がジャック・デリダである。脱構築によって、音声言語 / 文字言語、男 / 女、人間 / 動物、文明 …

子育てとdual meaning

孫は近くの民間が経営する認可保育園に通っていて、そこでは2歳児クラスから「ハロータイム」という英語教育プログラムが週1で行われている。 それで家でも数を覚えるのに日英語で練習している。 まだ両手の指で「7」を作る練習もしているのだが、面白いこ…

『神話・伝承の研究;塚田六郎』

以前に書いた『祭暦』とつながる本に出合った。 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20060602 この本の早い時期にオウィディウス(bc43-bc17)のことが出ていて、ギリシャ神話の体系化は この人の『転身物語』が基本文献だとあった。原義の「メタモルフェーゼ」は…

『持統天皇歌軍法;近松門左衛門』

謡曲「蝉丸」のことを調べていたら、近松にも同名の作品があるということで図書館で探していたら、万葉集28番がらみの作品もあることが分かった。 『近松物語;渡辺保 2004』 内容は、継子の春彦の尊、第一皇子と実子夏仁親王のどちらを皇太子にすべきかの迷…

称号「女帝」は卑称ではないのか

正月のNHKの伊勢神宮にかんする番組のビデオを見ていたら、持統天皇に関する記述として「持統女帝」という文字列があたかも「日本書紀」に出てくるような構成があった。 だが日本書紀にはそもそも「女帝」の文字列は一つも無い。 たとえ、有標化が必要だとし…

元明天皇は藤原不比等の傀儡だったのか?

国土交通省のホームページに東京一極集中を排して国土の多極化を進めようという趣旨の論文が掲載されている。 http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/service/newsletter/i_02_70_1.html 主張についてコメントするつもりはないが、論運には困ったことが…

クレヨン・ハウスとノンタン

久しぶりに郵便局に用事があって出かけたら、「クレヨンハウスのブッククラブ」のカタログがおいてあった。月2000円前後の絵本の定期購入のオススメであった。 夕方預かっている孫のための本をさがして繰ってみたら、現在孫が気に入っている「ノンタン」が一冊もな…

解会字;霧

月が替わらないうちに、仮構を試みると マオウ・ウ 読むときは モウモウ かな? 現在は煙霧のオノマトペだけど、 モヤモヤ ならば霧に関連付けられる。 「靄がかかる」って霞でもいいけど霧でもいいはず。

露地

2006年の「古田武彦 high」の再来か、という位興奮しているが、「路地」が「ろーぢ」ならば茶道が好む「露地」の方が正音にのっとった用字ということになる。 なぜならば解会字して「路雨地」を導いて「ロ・ウ・ヂ」と読ませることができるからだ。これを語…