2014-01-01から1年間の記事一覧

WHO did WHAT to WHOM

笠間書院のメルマガで「国語・国文学総目録2015」をくれるとあったので申し込んだところ「膠着語」関係の書名があったので、図書館に申し込んでいる。 上記の英語句は 2009年に明治書院から上梓された日本語文法書『日本語の省略がわかる本』の副題。 一時期…

三回の連続講座;琳派の誕生(講師;林進)

これは昨年から今年にかけて行われた全10回の「宗達を検証する」の補講。 http://www.sotatsukoza.com/ ■11月29日(土) 光琳筆『風神雷神図屛風』と宗達筆『風神雷神図屛風』 まず、前回の10回講座の要約として琳派の祖について光悦とする通説を退けた宗達…

主部・述部と主語・動詞

『レポート笠間no57』というのが届いたので、パラパラとめくっていったらこのブログで取り上げてきた『雪国』冒頭の文を例として日本文学翻訳についてのエッセーが出ていた。 外国人だから仕方ないのかもしれないが、日本語で日本語の文法をとりあげるならば…

縄文土器

学校でならう縄文土器の代表は火炎土器で、荒々しい原初の人間性の象徴といわれてきた。 ところが、少し前に平凡社(2013)『縄文の力』別冊太陽 で小林達夫氏が解説していた鹿角市出土の人面土板土偶は真逆の抽象性の塊みたいな造形だった。 それから気をつ…

異和 vs 違和感

「変だ・をかしい; http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20141021」の続き その後、『星三百六十五夜;野尻抱影』を繰っていて、新村出から松田修までくりだしていったら『日本の異端文学』がひっかっかてきて、その中に「反時代的視座--村上一郎論」があり、こ…

「変」を使った熟語(その2)

一晩寝たら、考えが変わった。 やはり「大」の字は余計で四つの逆語序対を抽出するべき。 1、変態態変 2、変体体変 3、変形形変 4、変異異変 1、の「変態」は学術用語 transformation の訳語として生物化学で採用され、それが心理学をとおして変態性欲…

変を使った熟語

前回の続き 例によって逆語序を使っていくつか作ると 大変・変態 変異・異変 変化・可変となるから「大変」は四字熟語を作らない。そうすると後ろ二者の対比からは 変異は大きいこともさりながら「戻らない」の義が強く出る。 一般的には小さな変化は修復可…

変だ・をかしい

先日聞いた高井啓介氏の講演が面白かったのでネットで検索したら 慶応大学の梅田聡氏がかかってきて、それで岩波の『フォーラム共通知を開く全9冊』がかかってきた。とりあえず『境界知のダイナミズム』というのを図書館で借り出してきた。 第一章で、違和感…

夢解釈と音喩

東京・三田にある言語文化研究所では毎年秋に質のよい公開講座をおこなう。今回の最終回の高井啓介氏の講演は大変貴重だった。演題は「楔形文字文学とヘブル語聖書における夢解釈の技法」というので甲骨文字の分野との違いくらいの興味ででかけたのだが・・・…

オミナエシ

数年前から和歌のことが気になってきたので昨年偶然見つけたオミナエシ、フジバカマを求めて庭に植えたところ今年になって盛りになった。 オミナエシは本当に背丈くらいに大きくなり、株も増えていた。これが河原中に咲いたら万葉集の歌さながらの景色になる…

判断・断定(4);連接構文・拘束構文

以前ここで源氏物語の冒頭の「いとやんごとなき際にはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり」についての東大の先生の解釈について取り上げたことがある。 判断・断定(3);古代中世の接続詞〈が〉 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20120502 最近、ちょ…

文月や六日も常の夜には似ず 芭蕉

元禄2年(1689年)七夕の前夜、直江津でよまれたという。 実は聖数七について調べていて『年中行事を科学する;永田久』を繰っていて見つけた。類書では七夕の前日から祭りを準備したりして、わくわくする気持ちを表現していると説明される。 だが、そ…

狂言の題名

先日、熱海のMOAで行われた能狂言を鑑賞した。能「邯鄲かんたん」はストーリーもテンポも現代人の感覚にあっていて堪能した。だが、狂言「なりあがり」の方はパフォーマンスはそれなりの工夫があってよかったが、ストーリーは解説を読んでもぴんと来なかった…

曼殊院門跡の弁天堂と天満宮

BSフジで毎週やっている各地の寺院紹介は、学校でならった歴史を異なる視点で串刺しするのに役立つので欠かさずチェックしている。先週の京都の曼殊院門跡の紹介はとても有意義だった。 というのは、中核の「大書院・小書院」が庭園に対し、それぞれ「平入り…

古池や 蛙飛びこむ 水の音  芭蕉

「文鏡秘府論」もいろいろあるようで、図書館で借り出してきた『日本哲学思想史12 平凡社』は誹諧世界に伝わるものらしく、その直前に正岡子規の「古池の句の弁」というのが載っていた。 要はこの一句だけをありがたがるのは間違っている、ということで宗…

水やりを かかせぬ朝に はぎの花

これは恥かしながら、自分の句である。この句のできる半年前ほどから有馬朗人主宰の地域の句会に寄せてもらって、句作が心身をすり減らす大事業であることがわかり、会社員と母親業との三立は無理との判断をして、すっぱり止める決心をした時に、本部の撰に…

草の戸も すみかわるよぞ ひなの家

これは「奥の細道」冒頭の句である。ところがこの句の解釈をめぐっては両説があってきていた。芭蕉がパトロンの杉風に買ってもらって、その資金をもとに奥のほそ道に旅立ったという事実をもとに、あるいはそれを公にする為に冒頭に置いたと考えるならば、芭…

田一枚 植えて立ち去る ヤナギかな

正月明けの番組を見ていたら、上記の芭蕉の句が取り上げられていた。説明は類書にあるとおり西行の次の歌を踏まえていた。 ・道のべに清水ながるる柳かげ しばしとてこそ立ちとまりつれ (新古今;西行) 両句を関連付けるところまではいい。 だが、説明とな…