2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『「血」の思想』

前回「血統」という言葉を書いて、思い出したのがこの本。副題が「江戸時代の死生観」とあるが、要するに忌み言葉「血→月経→女→穢い」が、江戸時代には「血脈」「血統」などと良い意味で使われるようになった日本語での経過を丹念に追っている。

『ドグマ人類学総説』

これも図書館の棚で眼に飛び込んできた本。題名の効果。こういうジャンルの本は久しぶり。翻訳文ではあるが、腑分けの対象が現在だから、とっつきやすい。主題はデカルトの「人が信じていると思っていることと、信じていることは違う」。もちろん、こういう本…

『古事記・上巻』の構造 (その四)

では「ユングという方法」の妥当性を私はどのように考えるのだろうか。ユングもベルグソン同様、翻訳文を読んでもよくわからなかった。唯一の記憶は日野啓三さんの講演で語られた「日の出を待つ猿」の話はどうも無意識という方法を完成したユングに祖がある…

陰陽道なるモノへ

陰陽五行と天文関係の本を読んでだいたいの見取り図ができたように感じたので、晴明の陰陽道の概説書『陰陽道とは何か』を手にとってみた。いくつか知らなかったことが書いてあったので列挙する。関心のない風水関係は今回はパス。 ■土御門家を一番攻撃した…

『古事記・上巻』の構造 (その三)

最近は図書館の予約システムが便利で、県内の公立図書館の本は早ければ一週間で、遅くても一ヶ月以内に近所の図書館で受け取れるので、あまり図書館に行かなくなっていた。だが久しぶりに図書館の本棚にいくといろいろ余計なものが眼に入ってくる。今回はユ…

『南船北馬』

昨日は『古事記の構造』を借り出しに県立図書館まででかけた。その時に神田氏の同上の書をぱらぱらと拝見した。本当の遺稿集らしくまとまってはいないのだけど古事記関係と俳句論が面白かった。 古事記に出てくる、捕まることを想定して衣を「腐らせて」おい…

『初期万葉の女王たち』

先だっての、「『古事記・上巻』の構造」の項は実は「古事記の構造」という見出しで書き始めたのだけど、我ながらちょっと仰々しい題だなと、思ったので、ウェッブを見てみたら神田秀夫って人が上記の題名の本を書いていることがわかったので題名変更すると…

「直示詞そこ」と「坂の底」

前回、「直示詞そこ」は「底そこ」と関係ないと書いたけど、やはり『大地の子エイラ』がヒントになって思い出したことがある。それは人類が言葉を発するようになった初期には「発語」は「呼びかけ・応答」の繰り返しではなかったということである。 『大地の…

『古事記・上巻』の構造 (その二)

表題改め;「カサ・コソ」と「アマ・オモ」 あーあ。古田highはまだ続きそう。 いろいろ見てたら古田氏とは関係ないんだけど『上代語にもとづく日本建築史の研究』というのがあって、開いてみると、神社関係の用語として「ヤシロ」「ホクラ」「杜・もり」が…

『古事記・上巻』の構造 (その初)

古田武彦highの続き。。 「古事記」を考えるんだったら、最初の三柱の一人神たち、天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神について押さえるべきだと思う。それも当て字の漢字ではなく音韻の意味を捉えことが必要になる。 「アマ・タカ」の「あまねき実在・…

逆接による造語

まだまだ続く古田武彦high。 「度量衡概念の推移」の問題を考えている時に、少なくとも古事記の段階では造語法に2つの系統がある事がわかった。「ア段とオ段の対比」と「逆接法」である。とりわけ逆接法は漢字の造語法に受け継がれて行った。漢字例の代表が…

「ぬばたまの」と「くさり」

ひき続き、古田武彦high。ナウマンの『山ノ神』以来、久々のtrans。これが細部を共有するということなのだろう。脳の中に個別にしまってあったものがつながってくる。crysatalization。こういう状態になると、とにかく疲れる。脳が疲れる。体に脳がついてい…

『古代史の未来』

古田武彦の著作。あんまり「九州、筑紫、九州、筑紫」と出てくるので鼻についてきたが、detail へのこだわりには共感。 11、神武弁 神武天皇はどっちの言葉を使ったのか? ・おまえのツラなど見たくもない。 ・おまえのカオなど見たくもない。 こういう細…

『「君が代」、うずまく源流』

今日は「ペルシャ文明展」を見に行く予定だったのに主人が半休をとるというので出遅れて、ぶらぶらしていたら「出版ダイジェスト」が届いた。古田武彦氏の出版案内が載っていて急に気になり、インターネットへ。近所の図書館にあるのを確認して、主人が出かけ…