2013-01-01から1年間の記事一覧

今年ものこりわずか

最近更新がとどこおっていますが、元気にしています ジョージ・レイコフの始めたメーリングリストに投稿したものを転記します。 これで1991年以来つづけてきた文系・理系の融合研究の目処がつきました。 みなさま、よいお年をお迎えください。 Re: Reading be…

「彼はおおいに勉強したが、合格した」

家のかたずけをしていて『論文の書き方;清水幾太郎 1959』があったので、手にとってみた。すっかり忘れていたのだけど助詞「が」について実際的な指摘が上記文例で示されていた。著述の目的が社会科学の論文の構成の仕方にあるので、ここでは、助詞「が」が…

カワムギ・ハダカムギ

大麦は、もともとは脱穀しても皮一枚がはがれないカワムギが栽培されていたのだけど、BC6000年ごろ脱穀ではカワナシになる現在の麦粉の原料になるハダカムギがでてきた。 ところが現在麦茶を作るのはカワムギだから、マコモのように食料としての伝統は絶…

まこも・こも

万葉集から蕪村までに歌いこまれ、賀茂真淵によって「かつみ」もまた、それであると措定された「まこも・こも」が気になって『菌食の民俗誌;中村重正』を手に取った。 なんと、現在はかろうじて雑穀として残っている山地性のアワ、ヒエ、ソバとはことなり、…

情報命題・情報確度

以下の続き。今性懲りもなく、繰り返されている「ビック・データ・サイエンス」に対して、私が提唱している手動多変量解析(枚挙法)の本質を理解してもらうのに参考になる論考(2007年)が出てきたので、未整理だけどアップします。 「articulate と日本語・…

数字の語呂合わせ (その2)

たつた川 から紅に 水くくるとは これは古今集 秋下 に出てくる294番の在原中将のあまりに有名な歌の一部分である。 素人ならばここから「九九」を抽出したいところであるが、正統な教科書には決して書かれない。 だが、これは「秋下 46番」に置かれて…

数字の語呂合わせ(その1)

1、鎌倉幕府の成立年について 、団塊の世代は「1192年 いいくに」とならった。だが最近はこれが否定されて「1185年」となったらしい。現在の学習指導要領では両論併記で進められているらしいが、学者先生の言い分をきいているとどっちでもいいように感じる…

articulate と日本語・日本文化

最近「ビッグデータ」関連の露出が目立つ。直近では新谷尚紀氏が柳田國男の民俗学の方法その物だといって宣伝に一役買っていた。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3004 だが私が会社員になって以来、多変量解析はまずは計量国語学によって大野晋バッシン…

畳句

『日本文芸史 p381 小西甚一』に柿本人麻呂の対句概念を整理して白川『初期万葉論:白川静 p159』に加上して「畳句」をを抽出していた。 それによると同音反復以外を対句と畳句に分けるということになる。当然背反関係にあれば対句で、そうでない部分対比を…

「しらべ」とは何か

以前、「まこと ノ しらべ」について考えたことがあった。 「古今和歌集・仮名序」を読み解く;喩とは愉 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20130509 今朝、twitterを見ていたら1997年の日本言語学会の発表に関連する発表があることがわかった・ http://www3.na…

(株)ジェイアール東日本企画に物申す

土曜日の10時ごろ、東海道線の熱海行き電車に乗ったら、ひどい目にあった。50分間ほど、ずっと「渡辺謙」にいわゆる「眼をつけられっぱなし」だったのだ。 なんか居心地が悪いと思って、あたりを見回したらそういうことだった。 ほんと、広告屋ってこりない…

「古今和歌集・仮名序」を読み解く;逆は反・仮・返

最初に「逆語序」という用語を知ったのは'阪倉篤義氏の著書の中で折口信夫がふれているという紹介からである。そこにあがっていた例は「たてごと・ことたて」であって、あまり重要とはおもわれなかったが、気をつけて日本語を観察していくと、「体用・用体」…

「古今和歌集・仮名序」を読み解く;喩とは愉

以前一回だけ香川景樹を取り上げたことがあるが、ちょっと思うことがあって、『香川景樹;兼清正徳 1973』 を通覧した。その中の「調べの論」の項をまとめると「近世の復古思想をも超克した香川景樹」ということで、いかにもの大日本帝国臣民として生をうけ…

歌語;「数寄」から「器量」へ

以下の続き。 「お子さんはギリギリです (その2) http://d.hatena.ne.jp/midoka1/edit?date=20130411」 『道元の和歌;松本章男』を読んでいたら、貴族社会の一員として和歌をよくしていた、後鳥羽院に少し遅れたこの宗教家にとっても「数寄」という語が重…

適応障害・発達障害などなど

茂木健一郎氏がBLOGOSに雅子さまの報道について一石を投じていた。ネットでの反応は低いが、重要な問題提起だ。 とくに同じBLOGOSに四谷大塚の自閉症・発達障害対応教材の広告が載っていたので、すこし思い起こしておきたい。http://yotsuyagakuin-ryoiku.com…

お子さんはギリギリです (その2)

前回、抽出した両文対「合格・ギリギリ」について考えていた。 ・お子さんは十分に合格です(含意はすばらしい) ・お子さんはギリギリ合格です(含意はよかったね) ・お子さんはギリギリのところで不合格です(含意は残念) ・お子さんは十分に不合格です…

お子さんはギリギリです

日本語ボランティアの会合でペルー出身の方から上記文例について誤解が生じやすいとの問題提起がされた。日本の先生は警告のつもりで言っても、ペルーの親は「まだ大丈夫」と受け取るというのである。 少し考えてみたら、これは初級の文型と同じパターンであ…

音幻「式神 / 識神」

NHKでは「安倍晴明」が取り上げられていた。ボーッと見ていたら、今まで気になってきた「式神 / 識神」の関係が少し見えてきた。 これは【知識・職業・織物】の三元で処理していく。そうするとそれぞれの慣用略字がはっきり見えてくる。すなわち【式・可・蓄…

音幻{耳なしスル」

この語彙にこだわるのは共感覚にまつわる和語の整理につなげたいからで、ここ数日の成果をまとめると以下。 の為ニスル ニスル の為ニナル ガキク 〜キキ ガマワル ヲマワス ヲマゲル ガマガッテイル ニツク ヲツク ヲツケル ヲツイテクル 気の為ニスル 気ニ…

待ってた 長島

古い書類を整理していたら大新聞の見出しに上記のものがあった。 日本語って語末が大事という見本。新聞社の校正係は「ファンのエール」という思い込みで眺めるから、おかしさに気づかないのだろう。 だが、これでは「よ」が欠けているので主語がわからない…

「幸福な王子」か「幸福の王子」か

日曜日の日経に「幸福の経済学」が取り上げられていて、「主観的な幸福感」に関する経済だとあった。これで今まで抱いてきた有名な小説の日本語訳の題名への違和感が一挙に意識に上ってきた。 記憶では「幸福の王子」なのだが、今回あらためて検索したところ…

耳なしスル

NHKのscholaという番組をみていたら、塚田健一氏が「みみなしスル」と云っていたように感じた。辞書には出ていないが「外界音を解釈して言葉に変換する」という意味に聞こえた。この語をえると「みみなし山」と「耳なし法師」の両語が緊密に関連つけられ得ら…

裏干支と裏目とぞろ目

最近「裏干支」という言葉があるのを知った。 これで「裏目にでる」がサイコロの「1・6」「2・5」「3・4」だけでなく「子・午」などの対位関係を民間で積極的に教化してきたことに気づいた。さらにこれによって干支が「双サイコロ」を含意していたこと…

延約略通

『本居宣長;小林秀雄』を読み始めた。数年前とちがって、するすると読める。ところがここで、仰天事項が。今頃言わないでよー、と言いたいことが。ようやく作り上げた「膠着語・屈曲語」を総合した四字熟語「伸長屈曲」がいともあっさりと上記熟語で示され…

音幻「ひどい」

「ひどい・非道」「どうりで・道理」までは当て字ではなく、正字(マサモジ)と考えてもいいと思っているのだけど、それぞれを四字熟語に伸長することが出来ないでいる。 今朝「沓冠法」、ようするに「一巡しりとり」にまでなったのでメモ。「ひどい・非道」…

音幻

「音幻」という言葉は幸田露伴の造語のようだが、このブログではじめて使ったのは以下。 「「通鼻音・ん」と「音便の訛音」 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20061008 」 当時は自分が何をしたいのか、何が不満なのか、いっこう分らなかった。思考はどんどん拡…

『靖国史観』

NHKは最近国際環境重視の日本史を取り上げている。ここで足利義満の特集に出来たコメンテーターがよかったので図書館で二冊借り出してきた。『靖国史観』と『父が子に語る近現代史』。後者にあった「自虐史観」を「自慰史観」と置き換えるのも手だれである。…

宗祇

小倉百人一首なるものが実は定家の作ではなく、宗祇の作品なのではないか、という疑問とともにいろいろ考え始めているのだが、『宗祇;小西甚一』は参考になった。P59にある「頭のよく切れる、煮ても焼いても喰えないおやじ」との評は、私の予想を裏切ら…

畳語と重語

twitterで佐竹昭広が色対偶についての論考を残していることを知って、調べ始めた。もちろん京大教授、つまり文部官僚だから戦後の翻訳言語学のおぞましいまでの党派性と無内容さと正面からぶつかるような字面は残していない。だが、マリノフスキーに加上する…

天の江ノ島

最近夫婦で暇が出来たので近くの鎌倉へ散歩に出かける。昨年だったか、そういうおりに、「葉山の桜山古墳にはぜひお出かけください」という方がいて、ようやく出かけた。それが実は関東随一の前方後円墳だなどということはまったく知らずに・・・・・・。ま…