2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

語頭の「ユ」

先に書いた「ゆ湯」は重要な語彙だが、派生語は少ない。それに対し「ゆか」は重要な派生語を生み出している。「生み出している」というのが擬人的で科学的でないとすれば「重要な語彙構造をなす」である。 ・縁ゆかり ・結わない ・ゆかず、いかせる ・いわ…

正唱法と正書法

『古代国語の音韻に就いて;岩波文庫』『いろはうた』『日本語はいかにつくられたか?』の三冊を平行して読んだ。どれも二回目のtry。最初は筋を追うことしか出来なかったが、今回は少し絵柄が見えてきた。関連するところを『情報の歴史』を参考に年表にして…

語頭の「ウ」

「ウ音]は不思議である。ワ行でもウ段は早い時期にア行とくっついていてしまった。 鵜・魚・鰻・「湖の後半」を見ていくと、明らかに「大きな水たまり」に関係がありそうだ。一方で容器の語彙を並べてみると[水盤もい」「甕かめ」と並んですぐに思い浮かぶ…

『山の神』−山と森−

たぶん柳田国男によって特別なkeywordになったと思われるが、同じ題名の本は二冊ある。著者は共に女性だが、一人はドイツ人で日本に長期滞在記録のない高名な民俗学者のナウマン。一人は吉野裕子氏である。方法も対照的である。一方は世界の中の日本で、他方…

「記紀」とは何か

「記紀」という図を理解するためには、それを支える地の理解が不可欠だと思う。学校で習わなかったことをまとめておく。 ●目的は「大化の改新」の基礎を固めること。ここまでは学校でも習うがもっと大事ななのは外戚としての「藤氏とうし」の地位を不動にす…

『易・五行と源氏の世界』

この3月から4ケ月と少しの間、吉野裕子氏の著書を読み続けた。子午線くらいは知っていたものの「たつみ」がどちらの方角を指すのかもわからない、浅学というよりは無学の身にしては大それた試みではあったが、ようやく21世紀の今とつながるべきはつながって…

『夜叉ケ池』

●歌舞伎をニューヨークからの客人の所望で見に行くことを決めたのが5月。まず日時が決められ、諸般の事情でこの舞台を見ることになった。決して蛇神論のために出かけたわけではない。だが、やっぱり見てきたのは蛇神。 ここでは二つの災難がともに水神・龍と…

ヤマタノオロチと龍

未だ古事記の中に阿蘇山のイメージがぼやけていることに拘っている。高千穂の名が出てくるので、知っている人はわかっていたのであろうが、大事なら大事ともっとはっきり描いてもいいはずだ。なぜ? 手がかりをヤマトノオロチに求めるとすれば、阿蘇一体の噴…

京都二泊三日

久しぶりに京都。初日は伏見稲荷と東福寺。夜はホテルで平日ディナーなる総カロリーの半分はデザートと思われる、フランス料理のフルコース。味は良かった。二日目は近代美術館の藤田嗣治展。その後黒谷経由で修学院離宮へ。帰りは鍵善の定番をいただき夜は…

蔓と木

本当に日本の表象には[蔓と木」が深く埋め込まれているのだろうか。「蛇と杖」のような二者が同居する絵柄は見かけない。だが音韻を追っていくと〈蔓=木〉であることが得心できる。例をあげておく。 ・槙の木とverb巻く ・瓜と漆の木 ・蔓(つた)と欅(つ…

蛇と杖

『動物シンボル事典』をみると蛇の旧約聖書の蛇の図像の代表は「杖をのぼる蛇」である。これの寓意はなかなか複雑だ。思いついたものを列挙すると ①預言者のの杖をたよりに神へと向かう愚かな蛇・人間。これはまた、重力場の象徴ともなるし、十字架上のイエス…

映画「長崎ぶらぶら節」

ビデオショップにいくと「ご当地モノ」コーナーがあってマイナーな作品があり、ファンである。今は蛇神のことが、頭から離れないので、そう思ってみると出て来る風景という風景の中に蛇が見えてしまう。沢筋も大木の幹の肌も、なにもかも。もちろん吉永小百…

祇園守紋

「葵の紋」と書いてから、自分がいかに家紋と無縁で生きてきたか、気がついた。最初の出会いは「能登の平家」。それまで紋は[植物」と思い込んでいたので、「蝶」の意匠にも、そのデザインにも感動したのを覚えている。 『家紋大図鑑』を広げてみると、阿倍…