2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

語彙〈筬・おさ〉

この年になっていろいろ新しいことを勉強すると、記憶力の悪さが身にしみる。機織のことは古代から中世に変わっていく社会について想像をめぐらす時に重要なのだが、用語がなかなか頭に入らない。そんな一つが上記の語だった。今腰をすえて電子辞書を読んだ…

『全国アホ・バカ分布考』

16日に、〈stupid〉について考えたついでに新潮文庫にざっと目をとおした。著者は男性。したがって語源の部分は文字資料と外国語としか関連づけていない。その上、滋賀出身なので京都中心史観が濃厚。注目すべきは柳田が「ヲコ」との関連を重視して、中国…

ののしり言葉 と音韻文法

外国人に日本語を教えていくと、ののしり言葉〈馬鹿〉を英語に訳してほしいといわれることがある。たいていの日本人は〈fool〉という語を思い出すようだが、それは違う。だから相手は怪訝そうな顔をする。つまり〈馬鹿〉という語が使われていた場面と、〈foo…

microsoft社の日本語変換ー卑語の問題

、どちらでも〈底力〉に変換することができる。だが〈そこジから〉を変換するとおかしなことになる。このことでもわかるように私などこのソフトを使うことで日本語の orthography を勉強してるようなところがあるのである。一番頻繁に訂正されるのが、私の場…

本の題名ー〈そこぢから〉

ここ数日で二回も音韻〈そこぢから〉に出会ってしまった。以下である。 ①泉幸男氏の『日本の本領(そこぢから)』 ②農文協の広告見出し「江戸時代の底ぢから」 ①の方はかなり思い切った読み下しだと思ったが、首相の書き下ろし本の題名が「美しい国へ」とい…

〈えんぴつ、いちほん〉は間違いか

日本語教授法では数詞の教え方が重視されている。時間は〈いっぷん、にふん、さんぷん〉、鉛筆は〈いっぽん、にほん、さんぼん〉と教えることになっている。もちろんに日本語話者には当たり前のことであり、私も何回か生徒に教えてきた。だが最近、疑問に思…

「漢字かな混じり文」の次へ

つい100年ちょっと前までは、知識人の「漢文」と、庶民の「話すように書く文」という二つの言語に分裂していた日本語のことを考えると、よくここまで来たものだと先人の努力に敬服する。それくらい漢字かな混じり文、それにルビという啓蒙道具を発明した日本…

公式言語

『露伴随筆集ー言語篇』を読み始めたら、頭がエッセー・モードに切り替わらないが、ちょっと気分転換に。 正しい日本語を体現しているかのような大新聞が「縦書き」を支えている。しかしその言論の内実が果たして日本の国民に対して指導性を発揮しているのか…