2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

葛の葉

あまりに当たり前で、今まで注意してみたことがなかったのだが、先日たまたま通りかかった工事場で葛の先っぽだけが見え、三枚の葉がきれいに並んでいた。しかも未だ葉が若いせいか、葉脈がくっきり見えた。なんだか「葵のご紋」に似ていると思ったのだけど…

『萬葉集全歌講義』

はじめての『万葉集』。口絵の三輪山が美しい。 とりあえず数の分析。歌の順番は本にあるとおりとしてこれを右列に、応答歌や併記歌をまとめると組み数が求められのでこれを左に書くと、雄略天皇の「籠もよ み籠もち ・・」は(1,1)となる。 (2,2)が舒明天皇…

『蛇と十字架』

本書は「呪い」の書である。典型的な例を一つあげるとp143。いわく,キリスト教を背景とした近代ヨーロッパの圧倒的な物質文明の前に、日本の伝統的な動物観は崩壊を始めた。それをいやがうえにも加速化し、決定的にしたのは高度成長文明である。それは里山の…

龍の目・日月

『龍の棲む日本』では「日月」「両眼」と縦書きされていたので見過してしまったが、図で龍の眼の位置を確認すると、横に「日月」となっている。なぜならば古事記にアマテラスはイザナギの左目から生まれた、とあるからである。しかしそうなると左目から始ま…

消えた「ゴッホ神」

何日か前にいつも通る駅の前にAQUOSの広告があって、そこに「日本の色彩、日本の美にゴッホは憧れつづけていました」とあった。こういう日本語を見ると私は悲しくなるのである。 自分の国を愛するのに、どうして、他国の神々のguaranteeがいるのだろう、とつ…

『龍の棲む日本』

中世までに成立したと思われる「行基の日本図」と17世紀初頭に成立したと言われる「大日本国地震の図」の対比を軸とした国土図論である。もちろん、蛇神論考察の一助として読んだ。本書の主題は日本、あるいは日本の国土であるから忠実な読者というわけにはい…

『枡(ます)』

あとがきは全文引用したいくらいだ。簡潔な文で自らがその一翼を担った計量行政の結末を、数千年の枡の歴史が消失しようとしている、としてまとめている。キーワードは「数量・米の量・重量制・メートル法化」。 敗戦後の国家政策の中で「尺貫法の廃止」は特…

ジャパシネ「死国」

数日前にBSでやっていた古い映画だが、ネタが面白かった。「死国→四国→88箇所巡礼→右回り→左回り→よこしま→死者のヨミガエリ→禁忌破り」。つまり、逆順=悪、ということである。とすれば江戸期に盛んになった趣味としての回文も歴史的にはむしろ「呪い」で…

『口語訳 古事記』

はじめて、とおして古事記なるものに目を通した。理由はいろいろあるが、直接の契機は『逆説の日本史』と吉野裕子氏の「蛇神論」であろう。初心忘れるべからず、ということで三点をメモする。①大八島の成り立ちだが、 本州と壱岐の島が同格というのはちょっ…

光源氏の物語

小学校以来洗脳され続けてきた唯一の日本語ー漢字かな混じり文ーから逃れたくて この春同時に「謡入門」というのと「朗読法入門」という講座を取り始めた。今日は謡関連で「源氏供養」の舞台を見てきた。 中で表題が「光源氏N、オモの語り」と聞こえてきた。音…

大きい・でかい・出る・愛でる・めでたい・目立つ

日本語の「大きい」はあまりにいろいろな場面で使われるので、英語のmassiveのような迫力がない。それで、日本語で一番近い語は何なのか、気になっていた。 あるとき「でかい」という語が一番近いように感じたが、これは女性は普通使わないし、書類でも使わな…

『秤(はかり)』

瓢箪・ひさご 口絵を見たとたん「あっ」と思った。古漢方の秤量の道具である「厘秤」の箱が瓢箪の形をしているのである。民用で最も感度がよい秤で、0.1g以下の秤量が可能という。そう、ずっと日本人は秤とアフリカ由来の瓢箪を関連づけて記憶してきたのだ。…

p124「第二に、力の経験はふつうある対象(質量)が空間をある方向に移動する運動を伴っている。」

訳者がニュートン力学と運動力学の違いにあまり関心がなかったらしいことを示す箇所である。日本語の意味が取れないのである。これはmassを自動的に質量と訳したことからくる。昨日も書いたが、ある時期massは政治用語だったので、「触らぬ神にタタリなし」…

『心のなかの身体』

この本がきっかけで認知言語学に好意をもったことは確かなのだけど、今読み返してみると、どこがよかったのか思い出せない。確かに「客観主義」に対しての「相対主義」ではなく「想像力」の提示が新鮮だったことは確かだ。そして冒頭p26の二つのまとめに幻惑…

『ものさし』

p4 「面積や体積の単位を尺度から導いて、いわゆる単位系とし、制度を建てることは紀元前も三千年もさかのぼる古いことらしい。そればかりでなく、一定体積の水の質量を質量の標準にすることさえ、当時はじまっているらしい。この制度を作ったのはスメル人で…

『祭暦』

あるとき「メタモルフェーゼ」でwebを検索していたら、オウィディウスの『転身物語』がひっ掛かってきて、さらにこの本に行きついたのだが、これってすごいと一人で感心している。 オウィディウスって人は結構ポルノチックな詩で有名を馳せ、当時の皇帝アウ…

祈りと呪い

あるホームページに「呪文と祈りと私的言語の三つ組」という区分けが出てきている。なぜか「祈り」だけが大和言葉。日本語で哲学書を読んでもサッパリわからないのはこういう混交が行われるからだと思う。 「祈り」と対を作るのは「呪い」。このことを痛切に教…