2008-01-01から1年間の記事一覧
実家の母が倒れて、50日ほどやきもきしたが、なんとか退院できた。といっても以前のような独居老人の生活は無理なので、近所の老人ホームのお世話になることにした。本人も文字通り「三食昼寝つき」の生活に安堵している。 それにしても当所に越してきて40年…
藤谷道夫氏の講演会に参加する機会をえた。細部は氏の訳書『 ダンテ ;著者マリーナ・マリエッティ』で確認していただくとしてざっと印象を整理しておく。 (1)ダンテそのひと;省略 (2)神曲 邦題は森鴎外によるもので、中国でもこの題字で通用するから…
現代日本語の基本文型は「三詞文」だ、と自分の中で決着がついてから、再び、「二詞文」ということを考えてきている。もちろんひっかっかっているのは「桃尻訳・枕草子」である。なぜ橋本治は三詞文を正訳としてはしりぞけたのか。当然二詞文でなければなら…
これに語末形態素群をつけて文語風のものと重ねてみると・・・・ ・だ/です/でした ・である/であった ・にある(なり) ・のようだ(らし) ・といわれている(と聞けり) ・というべきである(たるべし) ・というべきであった ・だったり、でなかったり …
今まで「質量/重さ」「主題/主語」についての辞書や文法家の方針に異議を唱えてきたわけである。これらを〈政治term〉と名づけている。最近、「連辞」にかえて、しばしば用いられるようになった「繋辞」も〈政治term〉であるように感じていろいろ考えてきた…
『カラマーゾフの兄弟』と「曽我兄弟」とを対比したら、〈の〉から〈からの〉を導くことができた。それでは『薔薇の名前』と対比すると何がでてくるだろうか。 これは12世紀ごろには有名になっていた暗喩だから、『徒然草』の序段どうよう、わかりにくいよう…
某雑誌に『カラマーゾフの兄弟』の題名を論じたエッセーが掲載されていた。日本語の「曽我兄弟」には〈の〉が入らないのにこのロシア語の翻訳小説には入っているという対比から始まっていた。言いだせばきりがないけど、やはり翻訳小説の題名では定着したも…
以前ソシュールの研究者の小林英夫氏が主格の〈ワ〉を使っていたのを思い出した。出典を確認できていないので、もしかしたら他の人だったかもしれないが、現在の正書法は係助詞〈ハ〉と条件節詞〈バ〉の弁別しかしていないのだが、思惟文における「人称主語…
久しぶりに全くの初学者を教えることになって、非動詞文型のおさらいを自分自身でしていたら、不思議なことに気づいた。数年前までは考えもしなかったのだが・・・・・・。それでドリルに整理してみた。 (1)動作を行うのは誰か。 a 先生、質問ワ、いいで…
地域日本語ボランティアのブラッシュアップ講座で、外国人にとっての切実な漢字はなにか、という問題をだされた。一番さきに思いおこされるのは、警告文。ということで周囲を見まわしてしてみると警告文の多いことに、あらためて気がつく。 法律的に禁止され…
1月から4月まで、地域日本語ボランティアのブラッシュアップ講座に参加した。こちらの予定の関係で後半は出席できないことになったのだが、いくつか気がついたことをまとめておく。 まず6回ほど高柳和子先生の総論があった。提起された課題は3点であるよ…
前回とりあげた〈VIDI→見た〉という翻訳になぜ違和感を覚えたのかが、ようやくわかってきた。 ジーニアス英和では〈vision→視力、視覚〉とあり、ご丁寧にも〈eyesight〉との説明が出てくる。そして〈visit→訪問する、たずねる〉とある。だがこちらには〈call…
あるブログでみかけたのだが、エジプトを平定したユーリウス・カエサル(英語で「ジュリアス・シーザー」)が、紀元前47年にゼーラの戦いでの勝利をローマに知らせた時の言葉が現代にまで残る「VENI・VIDI・VICI[ウェーニー・ウィーディー・ウィーキー]」…
今年は真鶴半島の花を見る予定にしていたのだが、3月中旬から、月曜日ごとに雨になり、結局4月の中旬にしか行きつけなかった。どうせ暇なのだからと雨天順延にしたのがいけなかった。それでもこの小さな美術館は充実していた。 独学で画家になっていった氏…
今週日曜日、神奈川新聞には『1000キロの海を渡った「大王の棺」』、読売新聞には『東アジアの巨大古墳』が取り上げられていた。前者は2005年に行われた筏による石棺の蓋を想定した3トンの巨石の熊本県宇土から瀬戸内海をとおっての大阪南部までの曳航の再現…
数日前、に見たのだけど、ほとんど雨のないアフリカの砂漠に生きる虫やトカゲなどの生態が流れてきた。共通の特徴はときおりかかる霧から水分を効率的に取り込む能力にあるという。そこまでは自然科学番組なのだが、現地に滞在している解説者が言うには、霧…
今日の朝日新聞には法隆寺の国宝、四天王の解説が載っていた。四体とも左手に長いもの、右手には短いものを持っている。広目天だけは巻物であるから一見すると短いが、当然長い紙の巻物であるからやっぱり長いものである。長い棒はここではサヲではなく戟(…
今日の書評から、言語の問題にかかわりそうな情報をメモしておこう。 ・縄文時代には、双系の部族社会が形成された。 ・弥生時代に、首長墓が出現した。 ・古墳時代になっても人々の親族関係は双系のままであった。 ・6世紀になって、横穴墓などに血縁関係に…
『月刊言語;3月号』の特集は「大学生のための言語表現技法」とあり、もちろん大衆教育の喫急のテーマである。中でも、目をひかれたのが「古典レトリックを生かした言語訓練」というタイトル。中を見てみると、 ”Metaphors we live by" を「レトリックと人生…
久しぶりに、棚の整理をしたら、3月30日の新聞の書評記事が三つほど出てきた。一つがこれで栗原彬氏の文章(神奈川新聞)。京都中心史観によって日本思想の中核は〈場・トポス〉であるとのマインドコントロールが長くまことしやかに伝達されてきたのだが、こ…
上記のような大意のブログがあったので、ちょっと考えてみた。それは違うだろうと考えるからだ。自分たちの現状の不満を外来文化のせいにするのは良くない習慣だとも考えているからだ。 これは現在の日本人が助詞〈ハ〉の本質的な機能を見失った結果だからで…
以前、ちょっと書きました清濁音に関する作品を up しました。清濁音そのものについては最初と最後を見ていただければわかるはずです。簡単でした。問題はそこに至るまでの分析で、結構苦労しました。 そのおかげで今回は度量衡関係で長い間、イメージがつか…
以前、以下の二文例を対比したことがあった。その時は釈然としないままだったのだけど・・・。http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20061204 ・「どうゾ、よろしくお願いします」 ・「どうカ、よろしくお願いします」今回は、呼びかけの種類から考えてみた。日本…
昨年も指摘しておいたが、今年度も朝日新聞の一面見出しは上記のようになっていた。だが、転落というのは、ホームから転落して、自力では復旧することができないような場合に使うものであろう。http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20070404 現在の新聞メディアが…
朝日新聞の昨日の朝刊に載っていたのだけど、1880年に英仏軍によって中国側から言うと略奪された12体が順次中国に戻ってきているらしい。その順番に引っ掛かりを感じるのでメモしておく。 中国に戻った像;牛、猿、虎、豚、馬 フランスにある像;ネズ…
大っきらいな本がヒットしているっていうニュースはうれしくない。だが、そういうことをブログに書くと、キーワードつながりになってしまうから注意してかからなければならない。とにかく、数がものをいう時代、つながりたくなければ無視するしかない。だが…
『全国アホ・バカ分布考』の中で卑語として〈じゃかましい〉をとりあげておいた。http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20061119 私自身には聞き覚えがあるのだが、これは辞書には載っていないので、自信がなかった。だが、〈しゃがむ〉という言葉を思い出したので…
昨晩、discoveryのチャンネルを見ていたら、上の二語は 〈シャン〉〈ジョー〉と聞こえた。 こちらの聞き間違いなのか。殷の通称が〈商〉だとしても違和感がある。語頭母音とか語頭清音ってルールは ヤマト朝廷だけがありがたがってきた価値観なのだろうか。 …
結婚した頃、「さしすせそ主婦からかきくけこ主婦へ」というようなキャッチフレーズがはやり始めていた。ずっと忘れていたのだけど、最近、地域の日本語教室での漢字の導入という問題から、街角の漢字を観察する機会があって、改めて「禁の字」だらけの町中…
3月4日のNHKの「クローズアップ現代」のテーマは「職場のいじめが広がる−退職も」。番組自体はいつもどおりよくまとまっていた。だが、それが現在のわれわれの思索を深めてくれるかというとそうはならない。残念だが・・・。 これは奇しくも読売新聞の2月…