『古事記・上巻』の構造 (その三)

最近は図書館の予約システムが便利で、県内の公立図書館の本は早ければ一週間で、遅くても一ヶ月以内に近所の図書館で受け取れるので、あまり図書館に行かなくなっていた。だが久しぶりに図書館の本棚にいくといろいろ余計なものが眼に入ってくる。今回はユング派の高名な日本人による古事記の構造解析が見つかった。私の結果との大きな違いは三つ。

1)高御産巣日を「男性原理」に、神産巣日を「女性原理」に関連つける

2)アマテラスを高御産巣日に、ツクヨミを天之御中に関連つける

3)コノハナサクヤ姫が火中で生んだ海彦を高御産巣日に、山彦を神産巣日に関連つける。

  方法が違えば結果が違うのは当然で、私のは「音韻イメージという方法」だから、アマテラスは天之御中以外には関連付けられない。記紀の時代には「書き物」は本棚にしまっておくためのものではなく、文字も読めない、もしかしたら分節音すら発声できない一般の人々に、エリートが浪々と読み上げていく道具だったのだ。以下に音韻情報だけからの構造を改めて示す。

[初発のミ柱] [天之御中主神] [神産巣日神] [高御産巣日神]
[始発のミ柱] [天之常立] [イザナ御・カビ] [イザナ貴”・アシ]
[三貴神] [アマテラス] [ツクヨ御] [スサノヲ]
[三貴子] [ホデリ(海)] [ホオり(山)] [ホスセリ]