語末〈い〉の多義性

  語末〈リ〉が擦りきれて、語末〈イ〉が出現したのでは、と仮構して遊んでみた。

そろり とろり ぽろり よろり おほり いわり いなり いまり いたり のろり もろリ
揃い とろイ ぽろイ 覆い 祝い いない いまい いたい 呪い 脆イ
揃ウ 覆ウ 祝ウ 不在 推不在 いたむ 呪ウ
                いたいたし    

 中で、〈とろい〉〈もろい〉〈ぼろい〉は動詞を作らない。なかでも〈脆い〉は漢字をあてがわれて、和語としての見栄えは悪くないが、〈脆く〉のように副詞としてしか使えない。ただし〈とろみ〉〈もろみ〉はお料理世界で繁茂中であるから、かつては動詞もあったのかもしれない。あるいはこれからいよいよ動詞化がはじまるのかも。
  一方で〈のろイ〉〈呪い〉のように名詞と形容詞の機能をもっている場合動詞化するのは〈名詞〉の方で、形容詞は「副詞;鈍く」にしかなれない。
   〈いたい〉は名詞ではないが、〈いたいたし〉のような四拍形容詞にまでなっているので例外的に動詞化したのか、それとも別の語彙の中で考えるべきなのか判断を保留中。

   さるwwwで、「ちがう」の形容詞変化について論考していたが、これはもっと大きな語彙の中で考えていかないと行きつまるだろう。

逆語序対〈位置・地位〉

  <ちかい> ←漢語〈じか・い直位〉    
〈副詞;ちかく〉   〈動詞;ぢかづく〉 〈ちがえる位置変える〉   〈まちがえる〉
〈感嘆詞;ちけー〉    〈副詞化;ちかくなる〉 〈形容詞化;ちがう事〉   〈形容詞化;まちがう〉
    〈体言;ちかくハない〉 〈体言;ちがいハない〉   〈体言;まちがいハしない〉
    〈感嘆詞ちかくねー〉 〈    ちがいモない〉   〈非形;まちがいモしない〉
    〈感嘆詞;ちかいねー〉 〈感嘆詞;ちがいねー〉   〈感嘆詞;まちがいねー〉
    〈推量;ちかいな〉 〈感嘆詞;ちげーねー〉   〈決意詞;まちがえんゾ〉


cf.〈覆イ⇔大いに⇔多イ〉
cf.〈勘かえる⇔かんがえる⇔かんがむ〉