九曜と五曜

  『星三百六十五夜野尻抱影』をめくっていたら、上の表題のページがあって、いろいろおもしろかった。「10月5日の項」


1、九曜の星は七曜の「日月火水木金土」に実在しない〈羅喉星〉と〈計都星〉を加えたものをさす。とあるが実在しない星と言っても、素人ならすぐにも〈計都⇒計斗⇒北斗〉を導く。そうなれば〈羅喉〉のほうも〈羅喉⇒キラキラの長いもの〉位は連想してもいいのではないだろうか。とすれば、カシオペア座を素人は容易にあてはめる。これは惑星崇拝者集団には都合が悪かったのであろう。


2、静岡近辺ではカシオペア座を〈クロウノホシ〉と呼んでいる。一つの解釈としては北斗七星がいつからか七曜と認識されたのにしたがって、対座であるカシオペア座に「九曜」をあてはめたのではないか。(p292 10月5日)
    201/10/24追記;北斗が7+6=13を導くとすれば、カシオペアは5+4=9を導く。と考えると上記の1の〈羅喉星〉と〈計都星〉をそれぞれカシオペアと北斗に関連付ける仮構も荒唐無稽とはいえない。


3、御前崎で拾った例では「北極星をシン星とよび、これを芯にしてヒチョウとゴヨウがあり、七曜が西にいる時は五曜は東にいる」と言われている。このときのインフォーマントは「クロウ」については真言宗で使われる中心の●と周囲に八つの●がある、富山の薬屋の紙袋をさしたという。
     201/10/24追記;ゴヨウとクヨウノホシを転訛訛転と説明しているけど、日本語では何故「五・九」が「ご・ここのつ」となっているのかの説明を国語学の方から提案して欲しいところだ。

4、おまけ、アラビアではカシオペア座を、ヘンナで赤く染めた女の五本指と見立てる人々がいる。「9月18日;女の手」