社長は殺した・社長が殺した

    西鶴関連の書物に当たっていたら、20年ほど前のものに、「日本語の論理」という項目があり、参考文献に「'象は鼻が長い」が上がっていた。
  上記文例は一意に「被害者・犯人」を指事できるとあったので、本当にびっくりした。古い本なので実名は挙げないが、数年前には東京書籍から分厚い語彙関係の書物を上梓しているから、この世界では依然として権威なのだろう。教科書会社にもこまったものだ。
  助詞「は」は「が・を」との関係で語義が変わる。これは日本語助詞の特徴であって、特別なことではない。
ただ、「を」を使いこなせていない旧世代の人たちは「1−1」「2−1」が突出して強く想起されるということでしかない。宣長を勉強し直して欲しいものだ。以下。
1−1;社長は太郎が殺した。(被害者)
1−1逆序;太郎が社長は殺した。(被害者)
1−2;社長を太郎は殺した。(被害者)
1−2逆序;太郎は社長を殺した。(被害者)


2−1;太郎は社長が殺した。(犯人)
2−1逆序;社長が太郎は殺した。(犯人)
2−2;太郎を社長は殺した。(犯人)
2−2逆序;社長は太郎を殺した。(犯人)