オムロンの体重体組成計と理数教育の課題

 家人が上記の品を買ってきたのでマニュアルを眺めていてびっくりした。何と使用前に地域によって重力加速度が違うので補正をしないと「正確」な値が求められないとある。だが日本国内の重力加速度は以下のwebによれば稚内と鹿児島で01%の誤差なのである。http://www2s.biglobe.ne.jp/~inkyo/6thday.htm

とすれば体重100kgの人でやっと100gの誤差である。中間の値を初期値にしておけば稚内でも鹿児島での誤差は50g以内。そもそも秤の精度が100gだといっているのだから、必要ない処置なのである。

 これを見ていて少し前の学力崩壊論争の目玉の一つの感があった「円周率は3.14なのか3なのか」論争を思い出した。なんでも「正確」な数字が正しくて、「だいたい」は間違い、あるいは品質が劣っている、という決めつけこそが理数教育によって克服していかなければならない重要な教育課題なはずだが、国会議員や理科教育関係者の人たちまでが真顔で「円周率は3.14でなければ」と主張していたのにはびっくりしたのである。

 本当に正確な重さや質量は天秤でゼロ点と最高測定値の二点補正をキチントやらなければ求められないのである。日常生活で使う秤はたいていバネ秤で日常は最高測定値の補正は行わないのだから、そもそも簡易測定器なのである。そこに重力加速度などという学校でならった用語をちりばめて、精密機械であるかの装いをするのはそろそろやめて欲しいものである。 
 それよりも「有効数字」の概念を理解できない、理解しようともしない4年制大学卒業生が日本中にあふれている方が問題なのである。むかしマーケティングの仕事をしていて、「33人のアンケートで26人がyesといった」という結果の報告を「78.8%の人がyes」としてくる部下たちに閉口した記憶が甦ってきた。「8割では、なんか自分がいい加減な仕事をしているようだから書き直しません」と頑張られたのでした。


■補足(2006/06/01)
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