スペインとイスパニア

   コロンブスアメリカ大陸に行ったときの支援者がイスパニアの女王であることは知っていたし、それが現在のスペインであることも知っている。だが、なぜ表記が違うのかまでは気にしたことはなかった。
  ところが今年になって中南米からきたばかりの中学生に日本語を教えてみて、こういう差って結構大事だと気がついた。というのは「つくえ」とリピートしてもらうと「eつくえ」と軽い母音が入ってしまう。まだ規則を見つけるところまでいっていないが、ある種の子音についてみられる。
  という経験を反芻していると、夜のテレビ番組から「eリスボン」という音が聞こえてきた。大イスパニア時代に起きた大地震ポルトガルの首都リスボンが壊滅して、ヨーロッパにペスト同様のショックを与えた事件についての番組だった。語り手はイギリスのドクトルの肩書きをもった男性だったが、学校でならった英語とは別種の訛りの強い英語だった。
  自分にある種の経験がなければ聞き取りにくい英語だと思っても文脈から「リスボン」と解釈できればそのまま忘れてしまうのだが、こちらにある種の実体験があると、いろいろ関心や興味が広がっていく。これで「エリザベス」の愛称の一つが「リズ」であることも腑に落ちた。
   語頭母音と語頭子音の対立研究は今年、どのように進展させることができるのだろうか。今年もよい年になるような気がする。