胎児にとっての刺激

   先日、テレビから英語の番組が流れてきて、受胎から出産までの胎児の成長記録が紹介されていた。こういう生々しい番組は好きでないのだが聴覚発達のところで母音と子音の話が出てきたので最後までみてしまった。それによると子音より母音の方が羊水を通りやすいそうだ。当然視覚器官よりは聴覚器官の方が早期に分離している。
   そして母親の声はボーン・コンダクションを通して羊水の内部から伝わってくるので母親以外の人間の音声も聞こえてはいるが、母親の発声音は特別なものとして胎児に記憶されるはずだという。なにより出生後に獲得していく自らの発声音は当然ボーン・コンダクションが混じるので胎内で聞いてきた母親の発声音に同化されて認識することになる。
    聴覚器官の確立のの中で、胎児は口から羊水をガブガブ飲む練習を始め、次に自らの指を使って乳首を吸う練習をするらしい。これらの一連の動作は出生直後に始まる肺呼吸のための筋運動系の発達とも関連している。
    妊娠後期になると睡眠時間が短くなり、目はレム睡眠の兆候を示し、まぶたが運動をするという。つまり目は光刺激の判別という出生後の活動より以前に胎内において、記憶の再構成という機能と結びついているということである。