音幻〈KIOSK〉

   新聞で知ったのだけど、旧国鉄の駅の売店の名称を「キヨスク」から「キオスク」に正式に変更する動きがあるらしい。当初、「KIOSK」を「キヨスク」と読ませた理由については、当事者である旧鉄道弘済会が〈清く〉〈気安く〉のイメージを付加するためだったと説明していたらしい。
    逆に言えば当時でも語中の母音連続は日本人一般にはなじみがないという通念があったと考えることもできる。「三月」を意味する「ヤヨイ」も、宣長すら月の名前の中ではもっとも尊重に値すると言っているらしいから、語中母音連続をさける場合に〈j〉を挿入するというのは理にかなった一般的な方法だった可能性が出てくる。
    とすれば成り行きに任せておけばいくつかの「わたり音」が挿入されて流布してしまう可能性があったともいえる。その可能音韻を推理していって、以下のようなものが脳裏に浮かんだ。
    KIwOSK→キオスクor クオスク(イ脱落)
    KIrOSK→キロスク or キースク(オ脱落)
    KIyOSK→キヨスク or キョースク(拍数維持)
    KImOSK→キモスク
    KIhOSK→キホスク or ギボスク(濁音化)
    KInOSK→キノスク or キンスク(撥音化)
    KItOSK→キトスク or キッスク(促音化)