作句

  外国籍児童支援で中学3年の国語授業に入り込んだ。ちょうど俳句六句の提出が宿題に出ていた。授業のときも他のボランティアの大人も〈俳句=季語〉が重視されていた。だから〈俳句を作る=季語を決める〉という思い込みがただちに行動にでる。だから生徒はまず「季語辞典」にむらがる。
   だが、これでは〈作句=唸吟〉になってしまう。自分の1年足らずの経験で言えば、〈俳句=12文字〉なのだ。まず12文字で生活の心象断片を切り取るのが俳句ではないだろうか。だから「17文字の、世界で一番短い詩」という俳句の通念は私の感じからいうと、まだまだいい足りないと思う。

12文字で自分の〈今ここ〉を切り取る・・・・。

これが俳句なのだと思う。そして逆説なのだが、こう言い切ることにより、日本語話者にとっては俳句は身近で容易に浮かぶ、文字通りの〈句〉になる。今回の指導では修学旅行の一番の印象が金閣寺だったと、生徒が言うので、そこで何が印象に残っているか言わせると〈池〉というので、三つの単語を示していった。
金閣寺」「ぴかぴか」「夏の池」
    その生徒は優秀なので、すでに「ぴかぴか」がonomatopoeaであって、学校国語では卑語であることを知っていて、別の単語を持ってきて作句を行った。だから「ぴかぴか」は私の手元にのこった。それで、家ですこし遊んでみた。季語など後からどうにでも入れられる。初心者指導ではそれでいいのではないだろうか。
・ ぴかぴかの 金色うつす 夏の池
・ 夏池や ぴかぴかにおはす 金の寺
・ 夏池や ゆれるぴかぴか 金の寺
・ ほどほどの ぴかぴか映す 金寺夏