疑似逆語〈やってきた・きやがった〉〈やってやった・やりやがった〉

    あるブログでみかけたのだが、エジプトを平定したユーリウス・カエサル(英語で「ジュリアス・シーザー」)が、紀元前47年にゼーラの戦いでの勝利をローマに知らせた時の言葉が現代にまで残る「VENI・VIDI・VICI[ウェーニー・ウィーディー・ウィーキー]」(きた・みた・かった)という名句なのだそうだ。
    ここでは、別のところで糞雑衣とまで言われたアリストテレスの弁論術の話も出てきて面白いことは面白いのだけど、日本語訳のまずさに辟易しながら、うとうとと・・・・。一時間ほどして目が覚めると、何と訳が浮かんできた。よほど気になっていたらしい。

[きた] [みた] [かった]
[やってきた] [やってみた] [やってやった]
  [やっていった]  

これを負けた方の発語に変形すると逆語序まがいになる。

[きやがった] [やりやがった] [やられてしもうた]

これを、もう少しきれいにまとめると

[遠征者] [まかる] [みはからう] [まかした]
[被征服者] [まいった] [めをみはった] [まけた・おったまげた]

これを「v」の字を生かしてそろえると

[遠征者] [わたった] [戦いにわいた] [をかした]
[被征服者] [敵がわいた] [戦いにわいた] [をかしやがった]

原文の〈きた・かった〉を生かすならば

[遠征者] [来た] [聞いた、利いた、切ってみた、蹴ってみた] [勝った・こけにした]
[被征服者] [来た] [聞こえた、利いた、み切った、めげた] [勝ちやがった・こけた]


それでは英語に変形するとどういう形式があり得るのであろう。

[VENI] [VIDI] [VICI]
[visited] [violeted] [invaded]
[venue/ventured] [visited] [vigor/victory/victim]

などなどか。やはり、母語ではないので〈遠征者・被征服者〉の対語表までをも、幾通りも数日で思い起こすのは難しい。