逆語序対〈太郎者、行くもの〉・〈行くもの、太郎者〉
さて、学校文法で扱う文末対〈です・ます〉が、深層に役割対〈判断者・報告者〉を従えていることが明確に意識に上ってくると、日本語における語末体が聞き手を含意していることが意識化できてくる。そうすると、新旧情報の標識としての〈は・が〉についても新たな面が取り出せるようになる。
ここでは「使役動詞」と通称される動詞を使った分析をしておこう。
参照;http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20070916 ;(5)落ち葉が落ちている
本論に入る前に確認しておきたいのは、正字・正唱は階級社会の中で発達してきたし、それはビジネス社会や軍事ヒエラルキーには厳然として生き続けているし、そのような社会で成功するためには当面、必要不可欠な技術であり続けるということである。だから国語教育からも日本語教育からも抜け落ちている以下の枠組みを想起しておく。
組語〈主上 ・ 主 ・ 輩 ・ 奴〉 |
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1、新旧情報の入れ替え対 (話手は主) |
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・太郎者、行く奴
・行く奴、太郎者
漢文読みくだし
・太郎は、行くやつである
・行く奴は、太郎である
含意対(聞き手は太郎をふくむ皆の者)
・太郎は行く (非文)
・太郎が行く (行くのは太郎)
含意対(聞き手は主の輩)
・太郎は行きます (私がそのように手配します)
・太郎が行きます (私は、そのように聞き及んでいます)
2、新旧情報の入れ替え対 (話手は主) |
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・太郎者、行かせる奴
・行かせる奴、太郎者
漢文読みくだし
・太郎は、行かせる奴である
・行かせる奴は、太郎である
含意対(聞き手は主上)
・太郎は行かせます (私、主が、責任をもって、太郎を行くようにします)
・太郎が行かせます (行くものを差配するのは太郎であります)
cf.太郎を行かせます (と、そのように私は考えております)
含意対(聞き手は輩)
・太郎は行かせる (と、私は決めた)
・太郎が行かせる (行くものを差配するのは太郎だ)
cf.太郎を行かせる (が、皆はどう思うかな)
3、新旧情報の入れ替え対 (話手は主上) |
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・太郎者、行かせる輩
・行かせる輩、太郎者
漢文読みくだし
・太郎は、行かせる輩である
・行かせる輩は、太郎である
含意対 (聞き手は主を含む輩)
・太郎は行かせる (太郎は責任をもって当該人物を行くものを差配するハズだ)
・太郎が行かせる (行くものを差配するのは太郎のハズだ)
cf.太郎をば行かせる (太郎を行かせるツモリだ)
含意対 (宣旨)
・太郎は行かせるコト
・太郎をば行かせるコト
cf.太郎が行かせるコト(非文)