音韻イメージ〈経緯〉

   昨年、菅首相から「脱原発ロードマップ」が発表されたが、これが漢字だと「行程表」となり耳で聞くと「工程表」と違わない。そうすると現在世の中で頻用される理系の「手順書」、文系の「手続き書」との違いは限りなく0に近づく。
    従来から、このあたりの用語については逆語序対〈道筋・筋道〉が幕藩体制下での実績があって、抽象的すぎず、現実すぎず、使いやすいと考えてきている。もちろん以下の四字熟語も適宜使いこなしていくべきなのだが、今回もう一つ逆語序対〈経緯・緯経〉の重要性に気づいた。
擬似逆語序対〈道理・理路〉
擬似逆語序対〈天道・道理〉
擬似逆語序対〈天動・動転〉
逆語序対〈理論・論理〉


さて、四字熟語〈経緯・緯経〉では従来見てきた方法により、〈経緯→経と緯〉と、〈緯経→緯なる経〉とのように読み下す。後者が現代日本語で使われなくなったように思われるのは当て字が繁茂しているからで、何がそれに当たるかというと、「故ゆゑ」に思い当たる。これをさらに辞書でみると「理由・原因」「経歴・由緒」「趣向」「縁故・由縁」「事故・故障」までひっかっかってくる。
   やはり、辞書を調べるとますますわからなくなるわけである。ただ、面白かったのは万葉集から引用して「逆接」の事例を拾っていたことだ。ここでは「雪故」を「雪なので」「雪なのに」の両義と考えて、文脈から意味をとる、あついは充分に取れると考えていることになる。つまり「理由・原因」とかいっても「前段・後段」の「順接・逆接」は文脈で決めると言うことだ。
 「はなはなだも 降らぬ雪ゆゑ こちたくも 天つみ空は 曇りあひつ;万二・2322」
        「甚多毛 不零雪故 言多毛 天三空者 陰相管;万二・2322」

   とすれば「経緯」は二本線の交差である「井ゐ」としてイメージするのが好ましいと言うことになる。すなわち
緯1→前緯
緯2→後緯
経1→前緯から後緯が導かれる「果報」
経2→後緯が前緯から導かれる「因果」


    まとめると以下が得られる
音韻イメージ〈経緯*2=井ゐ〉
疑似逆語序対〈経緯・故ゆゑ〉







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