正月どん

   小正月におこなわれる「どんと焼き」の語源についてはWEBでは「火が燃えるのを「尊(とうと)や尊(とうと)」と囃(はや)し立てたことから、その囃し言葉が訛(なま)ったのだとか、どんどん燃える様子からそれらの名称がついたのだとかいわれています」と記述されていた。だが、これではイメージがわかない。ある本で谷川俊太郎の詩が紹介されていた。その説明文も一緒に読むとストンと腑に落ちていく。『笑いのコスモロジー;子どもと歌;百 祐利子』


しょうがつどん ござらいた
どこまでござらいた
くるくるやまの
とうげのしたまで ござらいた
みやんなんじゃった
みかん 
  こんぶ
    あまのはらのくしがきじゃ



     解説によると、「日本の天の原に在住の正月さま」は長らく、キリスト教のサンタクロースのような存在で、あくまで「みかん」「こんぶ」「串柿」など必需品でもあり、嗜好品でもあるようなものの到来をもたらしてくれるのだという。このような風俗が古来からあったかどうかはわからない。なぜならば、異国でそのような習慣があるならば、倭国でも取り入れるべきだと考えた知恵者がいなかったと証明することはできないからだ。
    だが和暦も和算も中国や南蛮経由でわたってきた西洋の文物であることを思い出しておいても悪くないだろう。
    違いは「固有名」である、すでにある日本語と音喩でつながっているかどうかである。
    西洋でもクリスマスが冬至と分かちがたく結びついているのであれば、12月25日を「とうじさま」とよんでお祝いをすれば、「どんと焼き」は「とうじさま」をお送りするお祭りであることが、説明されなくても共有されるとおもう。

   方言歳時記については以下がよく出来ている
八女の方言歳時記 http://www.wing8.com/dcity-yame/yamehogen/





============−