WHO did WHAT to WHOM

   笠間書院のメルマガで「国語・国文学総目録2015」をくれるとあったので申し込んだところ「膠着語」関係の書名があったので、図書館に申し込んでいる。
上記の英語句は 2009年に明治書院から上梓された日本語文法書『日本語の省略がわかる本』の副題。
   一時期くろしお出版講談社が推進していた「主語撲滅」運動書よりはましだが、言語というよりも思考あるいは社会関係の階層概念を無視しているので、理論書としては不十分。
   いろいろな先生に配慮して原稿をかくとそうなってしまうのだろうが、とても残念。そのことが一目瞭然なのが巻末の文法用語集。
  本文中では「主語撲滅運動」に配慮して主部のことを「主題」とか「トピック」とか言い換えていたが、一覧表ではあいまいさが一目瞭然になってしまう。
   端的なのが「述語predicate」の要素から名詞が脱落していること。

私は学生

の「学生」は名詞だが立派な述語。日本語では日常使われる名詞には形容詞が含まれているが意識していない。
   だから省略なく書くとすれば以下のようになる

私は身分が学生です

あるいは、「メリーさんは美人です」は「メリーさんは容姿が端麗です」となる。これが「メリーさんは人です」では新情報が無いので非文となる。ただし「メリーは羊だが、メリーさんは人間です」ならば対比情報があるので有意な文例となる。

   このように日本語の基本文型は「は・が文」なのであって、だから「述部」と、かつての先人は命名した。
今必要なのは「主部・述部」「主語・動詞」の階層性をはっきりさせる用語の確立。特に英語は動詞に過敏な文法理論をもつから、特に注意して運用していきたい。
「私は学生」とか「メリーさんは美人です」というのは「ある動詞」が省略されているわけだから、このレベルの用語は「主語・動詞」で一意に決めるべき。それがイヤなら江戸古学の伝統にのとって「体言・用言」をつかえばいいと考える。

主部・述部  subject・predicate
主語・動詞  体言・用言
主節・従属節  main clause・subordinate clauses


参考;「主部・述部と主語・動詞」 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20141124






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