天の川は川でなく円環だ(その2)

北天でみえるカシオペア五星に注目すると南天では天の川は二つ見えることになる。

東の空に昇ってきたカシオペア座から流れてくる、幅の広いいかにも大河の形象と西の空に降りていく五星から流れてくるほっそりした川の形象の二つである。

それぞれを沼沢と奔流と名づければ、「古事記」において出てくる東の空から登ってくる多紀理毘賣命と田寸津比賣命の用字の合理性に納得できる。


























表;胸形の三女神と北闕の形象



西



上天





Σ







田寸津比賣命



市寸嶋比賣命



多紀理毘賣命



胸形之邊津宮



胸形之中津宮



胸形之奧津宮


 

多紀理毘賣命からの流れは沼沢のように幅広で水量が多いのである。そして中国大陸で天河上流といわれる黄河の水源地域は池塘が多数広がる地域であり、当然湧水の多い場所になる。一方の田寸津比賣命は西方へ沈んでいく形象だが、南天に落ちる姿は滝をもふくむ急峻なながれであり、倭国の人々にとっては吉野川の奔流を想起させる形象である。そしてこちらには和歌でもよまれてきたスマルこと昴が岸辺にみえる。