p124「第二に、力の経験はふつうある対象(質量)が空間をある方向に移動する運動を伴っている。」

 訳者がニュートン力学と運動力学の違いにあまり関心がなかったらしいことを示す箇所である。日本語の意味が取れないのである。これはmassを自動的に質量と訳したことからくる。昨日も書いたが、ある時期massは政治用語だったので、「触らぬ神にタタリなし」ということで自動的に「質量」としたのであろう。だがこの文脈では「物体」とすべきだった。「対象」の原語objectは日常語では日本語でいう「者ではなく物」を意味するが、情報処理関係で「オブジェクト指向」という使い方が繁茂しているので、それと区別するためにmassを著者は補ったのである。そうであれば「物体」でなければ意味が取れない。