まこも・こも

    万葉集から蕪村までに歌いこまれ、賀茂真淵によって「かつみ」もまた、それであると措定された「まこも・こも」が気になって『菌食の民俗誌;中村重正』を手に取った。
     なんと、現在はかろうじて雑穀として残っている山地性のアワ、ヒエ、ソバとはことなり、水稲によって完全に主食としての地位を追われた正真正銘の湿地性のイネ科に属する古代の米だったという論考であった。
(1)それゆえ神社では稲藁から作られる「むしろ」ではなく、マコモから作られる御座を神のために現在でも用意するところがある。

(2)食料としては長い年月の間に黒穂菌との共生関係が作り上げられ、一種の菌ののう胞によって茎の下部が肥大し「まこも茸」と呼ばれ、野菜として珍重されている。中国でも盛んに作られている。
(3)蓄えられた黒穂菌は、顔料として用いられてきていて、鎌倉彫の古色はコレによっている。



・万2703 真菰刈る大野川原の水隠りに 恋ひ来し妹が紐解く我れは(よみ人しらず)

・今587 真菰刈る淀の沢水 雨ふればつねよりことにまさるわが恋(つらゆき)

・今677 陸奥の安積の沼の花かつみ かつ見る人に恋ひやわたらむ(よみ人しらず)



追記
現代の「花菖蒲」に詳しいウェッブをみていたら、「花かつみ」は「野花菖蒲」の祖系統だと書いてありました。園芸ビジネスとかかわってくると「花の名前」も難しくなります。
これも事実の一つ
http://www.kamoltd.co.jp/kakegawa/nagata.htm


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