助詞〈に〉の取り扱い方

  昨年の父の入院騒動についてホーム側と折衝してきたが、事実認識の一致をみないまま、先方の謝罪は得られた。この間、迷いもあったが、『雑誌ウエッジ』の昨年の12月号の記事『医師会が築いた医療の闇ーメスをいれるのは今』の中にあった「残念なことかもしれないが、医師にも悪い人がいるという前提に立ち、保険者は医療費を支払う側としての、国民は医療サービスの消費者としての意識向上が求められているーp39」という言葉におされて努力はした。
  だが、医療も介護も公的資金が膨大につぎ込まれているわけで、さまざまな規制も必要である以上、最適解は個人や一企業には見えにくい。まあ、行政サイドにもつながったので、文末文をホームと行政に送付して一消費者としては一区切りをつけようと思う。

一個人には、「ダメなものはダメ」ということを、事実という要素に分解して発信するしかできないと思う。

   私も一応は、行政の後期高齢者医療費の窓口にいって「医療費に疑問がある」と申し出た。そうしたら「よく主治医に聞いてください」、という対応しかしてくれなかった。たしかに税務署にいって「税金の使用方法に疑問があります」といっても取り合ってはくれないだろうから、無理からぬ対応ではあるが・・・。でもそれなら集金窓口は税務署だけに置けばいいのではないだろうか。

   私もかつては生命科学の専門家に属していたわけだが、医師免許取得者と薬事の専門家に対する不信は根深い。
同じようにして薬剤師や看護師も上司にあたる医師免許取得者に対して面従腹背の気持ちを持っている人が多い。医師と弁護士だって腹の中は探りあいだ。問題はそれらが外部、つまり一般人の間にはけっして漏れてこないことだ。外務省の機密文書ならば門外不出ということもありえるが、日常生活にかかわる専門家間の対立はもっと公の場で議論されるべきだ。
   その結果、老人ホームを良くしていこう、と言う努力よりは、医療不信をそのままに「なんといっても在宅介護よね」みたいな礼賛記事があふれている。特養に入れない家族にとっての介護は大変だから、がんばれという応援は必要だ。だが、それに事寄せて有料老人ホーム入居者を卑しめる風潮はいかがなものであろう。私の場合末期腎不全で寝たきりの認知証と診断された日本尊厳死協会員の母が透析を拒否しての退院だった。ホームに入居すると決める前にいろいろ相談にのってもらっていたケアマネージャーにお詫びかたがた、ホーム入居と**クリニックの名前を告げると、**クリニックは市内の訪問看護師の間では気安く腎不全末期患者を引き受けてくるので有名なのだから安心だと太鼓判を押してくれた。
   だが初日に起きたのは、母が「寒い、寒い」と言って、室温をあげさせていた部屋に入るなり、「なんだ、この暑さは。病人の言いなりになって介護ができるか。病人のいうことなんか聞く必要はない。部屋の温度は働く人が快適な温度にしろ」という指示だった。(2008年9月10日)

ここから一年に及ぶ私の地獄がはじまった。

   その後、一月以上をかけてホームの看護師まで動員して、あらゆる機会に透析を受けるように脅しをかけてきた。そして透析のシャンテをつくって戻ってきた私たちに言ったのは「これで内科的にはまったく問題ありません」だった。その上で月二回の訪問診療費用の他に特定疾病ホニャララに関する介護保険点数までのせてきた。つまり**クリニックとは内科的問題のない老人をダシにして月4万円弱を、公的資金からの売り上げでとっていくシステムなのだ。
    シャンテを作った病院でいわれたのは「**クリニックは自宅で治療している腎不全患者の家族のあまりの大変さを思って崇高な処置をなさっている庶民の味方です。あなたの場合はホームの人が面倒見てくれるのだからなんの苦労もないじゃない。だから**クリニックが透析すべしと判断したのは、まったく正しいの判断です。従わないあなたが悪い」だった。
   ここでわかったのは、「延命せず」がそれなりのビジネスとして旨みが出てきたということだ。まったく新しい地域で開業する場合、ウリになるということだ。だが、当然透析医院からの反発も多いはずだ。そこで関連医院に患者を回した実績も必要になる。それには老人ホーム入居者が格好のターゲットになるということだ。
   **クリニックが行ったかどうかはわからないが、当然その先には親を捨てたい家族にはそれなりの金品と引き換えに「延命せず」が行われることも見据えた対策が将来的には必要だ。有料老人ホームに入れば、最低年300万の出費になるのだし、**クリニックにすれば三年間、心臓をパクパクさせておけば公的資金から150万円近い売り上げになるのだから、延命がイヤなら100万くらいの謝礼は持ってくるのが常識だということにもなりかねない。
  なにより、ダブル・スタンダード、それも一介の医師の一方的で恣意的な判断がまかり通ることがないシステムが求められる。

  問題は、野田、福島と大物議員が「消費者相談」の充実に注力してきているとか仄聞しているが、メディアをとおして流れてくるのは旧来の消費者相談室の事案と老人ホームなら入居金の返還という金銭問題だけであることだ。
   時代が求めているのはサービスの質ではないだろうか。とりわけ専門家といわれるギルド集団のサービスの質が問題なのだ。
  旧来の消費者窓口とは、日本の輸出品が世界を席巻する以前に通産省が発足させたのだ。だったら

新政権の掲げるべき消費者行政は、人々の意識を新しい価値の創造にむけて導いていくものでなけらばならない。

旧来の費用対効率の満足に人々を縛りつける役割を担うだけの消費者行政ならば不要だ。わが市からの「消費生活のしおり」には「悪徳商法」への啓発ばかりだ。ようするに弁護士専門家ギルドの顧客開拓を代行しているだけなのだ。そういえば福島大臣は弁護士ギルドの一員だったはずだ。
   だから、質の問題に踏み込んだトヨタを公然と擁護できる日本の役所は不在なのだ。派遣の問題だって教育の問題だって医療だって、やれ、「アメリカは最低だ」とか「ノルウェーの教育をみならえ」だの「キューバの医療はすばらしい」とか、150年間の排外崇拝の繰り返しばかりで、質リテラシーが欠落したままなのだ。

リテラシーが欠如しているのである

  なお念のため言うと年金ランクからいって特養入所がかなわない父のために母が見つけてきた株式会社が運営するホームのサービスには満足している。必要最小限のサービスをコンパクトにまとめて最後まで月25万以内に請求書を抑えていたのは見事だと思う。東京の方の社会福祉法人の運営するホームに入所した知人のケースだと食事もリクリエーションも医師の往診回数もすべてチョイス制度になっていて、「親不孝者とおもわれたくない」となると月30万をはるかに越える請求書を覚悟しなければならないらしい。
  もちろん、どこであれ、入れっぱなしというわけにはいかない。25万だろうが35万だろうが、老人ホームは老人ホームに過ぎない。
  わが母も、知人の母親も、毎日なんだかんだと電話をかけてくるので、ほぼ毎日の日勤状態である。だが、家で介護する負担にくらべれば身体的負担は無いに等しい。もちろんこちらが仕事をしていれば日勤とはいかない。そこは親としての情にうったえて我慢してもらうしかないわけで、一般的な解はありえない。
  脱線になるが、先日テレビで携帯電話を取り上げられた入居者がホームを抜け出そうとして事故が起きた事件で、メディアはホーム側にきびしい判断をしていたが、それは間違いだと思う。携帯をとりあげた時点で家族ニモ問題があったと思う。心のケアには家族とホームのコラボレーションが必須だと思うからである。

さて、ここからが本文。

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1)〈に〉と〈から〉の相違
「○○様に何度か話し合いの場をもつご相談をさせていただいておりました」とありますところは「○○様から」ではないでしょうか。私の記憶によれば25日に父を見舞ったときに介護師から「前日の嘔吐物に血が混じってたので、看護師が検査入院が必要と判断している」と言われました。そこで私は「医師の往診後に相談しましょう」といったのです。
 さらに26日9:00ごろ**クリニックより電話で「看護師が検査入院が必要と判断している」から入院させるようにと指示があったので、私の方から三者面談の日時を決めるように**クリニックに依頼をしたのです。


2)〈25日に〉と〈25日にも〉の相違
「25日3:00にお父さまが嘔吐され」とありますが、上の事実認識から考えると「24日に引き続いて25日ニモ」ではないでしょうか。9月中旬にいただいた介護連絡ニモ「25日」とのみありますが、大事なのは24日あるいは25日の昼食以前に嘔吐があったかどうかです。


3)先日の抗議文でお願いした5つの専門家によるアセスメントの扱いについて不明である
  アセスメント実施の刻限を限定しなかったのは、相当の時間がかかると推量したからです。前社長の成功は遊休不動産の活用と介護ビジネスを複合した点にあります。しかし父が入所してしばらくして**クリニックの訪問診療が始まり、一見制度が充実したように見えましたが、創立時のビジネスモデルの換骨奪胎が始まったのです。私は、**クリニックのような医師免許を持っているだけの老人の生理に無知なだけでなく同情や共感のない医師が尊大にホーム内を闊歩しているのか不思議でした。
  横浜市のホームページで公開されている情報を渉猟してるときにヒントがつかめました。なんと**クリニックは御社のテナントなのです。父もそうでしたが、母の入居しているホームの建物は借家ですが、**クリニックと同居しているホームの建物は御社の所有家屋なのです。
  つまり**クリニックの成否は御社の新しいビジネス・モデル、あえて名づければ遊休医師免許保持者と介護の複合ビジネス・モデルの成否に直結してるのです。新しいビジネス・モデルの撤回と清算には時間がかかると考えたからあえて、刻限を切らなかったのです。しかし父の一周忌までには結論をいただきたいと思います。
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