日本語の深層にある清濁音対概念
以前、ちょっと書きました清濁音に関する作品を up しました。清濁音そのものについては最初と最後を見ていただければわかるはずです。簡単でした。問題はそこに至るまでの分析で、結構苦労しました。
そのおかげで今回は度量衡関係で長い間、イメージがつかめなかった〈重い〉を〈重い←重石←思せ←日干せ〉に関連づけることができました。そうすると対語〈重い・軽い〉も、語源が違う、つまり深層イメージが違うことがはっきりします。この問題は今年度以降の興味ふかいテーマになっていきます。
さらに、従来、オノマトペと一般語彙に挟まれて注目されてこなかった〈たかだか〉〈はるばる〉などの清音形態素と濁音形態素の組み合わせ語彙の重要性も抽出できました。
さらにいうと、今回の主軸は職業dialectという概念で、これにより従来 和数字と漢数字という外発概念で弁別されてきた語群を、内発的な歴史の概念である〈公私〉あるいは〈男女の性役割分担社会〉に関連付ける糸口が見出せました。例えば、〈びー・みー〉〈にー・じー〉の深層概念です。同様の方法を用いることで、初級日本語で目の敵にして教える〈いっぱい〉〈いっとう〉などの数詞についても、別の見方を提示することができました。それは、私が、これまで考えぬいてきた理科教育関係者の「質量」、日本語教育関係者の「主題」などの、党派的な主張が、別の多くのカタチで日本語の世界には蔓延しているということを示しています。 こういう問題は認知言語学でいうカテゴリの「基本レベル」という概念を深めていくことによって改善していけるものと思います。
日本語の勉強を始めて6年目の記念になるいい作品に仕上がりました。
http://homepage2.nifty.com/midoka/papers/seidakon.pdf
目次は以下。
1、はじめに;正字と正音 |
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2、方法について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p3 |
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(言語と文化)(選択と択一)(階層と構造)(カガチとカカシ)
(類型と型)(型と語法)(型と元型)(派生型の重要性と限界)
3、句ぎり指標としての有声音 ・・・・・・・・・・・・・・・・p10 |
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(風土記の事実)(語末の標識)(文末の標識)
(並列概念の標識)(並列語と内包概念)
4、項複合語(内心)と付加複合語(外心) ・・・・・・・・・・p14 |
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(職業dialect)(えがき・かきえ)(付加複合語と産業語彙)
(日干し・甘干し・塩干し)(カタカナ複合語と体言の弁別)
(コト体言とモノ体言の古層にある現象語)(集合写真と顔写真)
5、文字や音韻の序列化と音韻規範の爬行 ・・・・・・・・・・・p20 |
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(神社の呼び方)(ガラス管)(ガラス瓶)(会社と会)(助数詞の謎)
6、語頭清音の深層構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・p25 |
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(清濁対四拍語による語彙の拡大)(清濁対四拍語は概念語の宝庫)
(語頭清音語法の組織的展開例)(はるのき椿つばき)(花も実も)
(ひも・こより・なわ・つな)
7、構文助詞の正字〈は〉の謎 ・・・・・・・・・・・・・・・・p31 |
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(象は鼻が長い)(てにをは)(正規化と圧縮変形)(外延と非外延)
(陳述文と直示文)(名詞文と場所指示辞)
(動詞の中核はオボシ・オホセ)(は行の構造)
8、〈ま行・は行〉に見える音韻体系の爬行経緯 ・・・・・・・・・ p40 |
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(間・場)(おもふ・おぼす)(わたり音)
(石高・嵩だか)(おも・もの)
9、たかが正数、されど正数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・p44 |
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(正数4と5)(対辞よ・や)(数辞の謎)
(係助詞は;その深層構造)
10、おわりに;濁音という価値軸の克服へ ・・・・・・・・・・・・p48 |
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(形態素択一)(濁音から平音へ)