助詞対「なら・から」

  以下の論考の補足というか後日版。
 「 文型「1000円からお預かりします」考  http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20100306

   さる古典文法書を繰っていて以下の両文対が浮かんできた。これだといわゆる「主語」は明示されないが、前者aには「私」が、後者bには「私以外」が一意にくる。そして動詞語末【た・る】は動作の順序も規定している。
1a;食べたから寝る
1b;食べたなら寝る

2a;食べるから寝る
2b;食べるなら寝る

   【た】は前件で、【る】は後件。そして4つを【から・なら⇔ため】変換すると以下のようになり、1組と2組とでは「なら・から」が異なる展開を見せる。2組では単純に「から→ために」の置き換えで十分なのに、さらに「なら」を残した文型2’も成立する。ここでは「なら」は「仮定」の義を獲得する。

1a;私は、食べたために寝る
1b;あいつは、食べたために寝る

2a;私は、食べるために寝る
2b;あいつは、食べるために寝る

2’a;私は、食べるためになら寝る
2’b;あいつは、食べるためになら寝る


補足(2013・1・2)
最初の両文対は命令形のほうがもっとわかりやすい
1a;食べたから寝ろ(我が食べたから汝は寝ろ)
1b;食べたなら寝ろ(同一主語)

2a;食べるから寝ろ(我が食べるから汝は寝ろ)
2b;食べるなら寝ろ(同一主語)




参考
「助詞対〈ならば・でも〉〈ならば・にも〉〈ならば・にでも〉 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20111127



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