発語体・発声体

   今まで、発語・発声の二語を混交して使ってきたことに気がついたので、ここで整理しておく。〈発語〉は〈脳内思考言語〉から〈独り言〉や〈つぶやき〉までをさし、〈発声〉は明確な伝達の意志を伴う、と定義する。第三者が記述する場合はそれらは〈発語体〉〈発声体〉として区別する。ここで〈発声体〉は原則、対面者間での伝達機能をになう。その上で、改めて語末辞における〈ア・オ〉対立を一覧してみる。

  陳述体;   その前に陳述体のことにふれておく。社会が複雑化すると、場面に直接存在していない人間も重要な要素となる。その場合にまったく圏外にいる存在と、地下人など非殿上人と殿上人、あるいは親子などいくつもの関係が分化していく、あるいは神の存在も大きかったはずである。それらをまとめて非在者としてくくったときに〈陳述体〉が文法的に成立する。それは二項対立的発想からいうと〈つぶやき〉の位置に近い存在であるが、階層概念をしかっり身につけていれば差異は明確となる。

  発語体;水がほしい・曙がいい

  発声体一覧

水がほしいナ   男性語における要求     曙がいいナ   男性語におけるとりたて
水がほしいノ   母や乳母から児へのy/n質問     曙がいいノ   弱者によるとりたて
水がほしいワ   女性語における要求     曙がいいワ   女性語におけるとりたて
水がほしいヲ   お目見え以下にかかる連体     曙がいいヲ   同左
水がほしいヤ   神からの要求     曙がいいヤ   強者によるとりたて
水がほしいヨ   神への要求     曙がいいヨ   弱者によるとりたて

     参照;http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20070410

水がほしいカ   男性語におけるy/n質問     曙がいいカ   同左
水がほしいガ   陳述条件節     曙がいいガ   同左
水がほしいコ   子、お目見え以上にかかる連体     曙がいいコ   同左
水がほしいサ   陳述とりたて     曙がいいサ   同左
水がほしいゾ   陳述要求     曙がいいゾ   陳述断定
水がほしいソ   非形     曙がいいソ   同左
水がほしいタ   非形     曙がいいタ   同左
水がほしいnダ   陳述主節     曙がいいnダ   同左
水がほしいト   トイウ、トオモウ     曙がいいト   同左
水がほしいハ   非形     曙がいいハ   同左
水がほしいバ   場合にかかる連体     曙がいいバ   同左
水がほしいボ   非形     曙がいいボ   同左
水がほしいマ   間合にかかる連体     曙がいいマ   同左
水がほしいモ   陳述条件節     曙がいいモ   同左

    参照;http://homepage2.nifty.com/midoka/papers/seidakon.pdf(マ行・バ行の音韻相通 p40) 

水がほしいj ラ   自問陳述     曙がいいj ラ   非形
水がほしいロ   推量質問     曙がいいロ   非形


参考;四拍日本語における基本的音韻対立

reproach   あーあっ!
approach   いーいっ?