トーキー

  これは無声映画のあとに開発された音声付きの映画のことではない。イギリスの南西部にある由緒あるリゾート地の名前である。
   『アガサ・クリスティを訪ねる旅;大修館』によれば「トーキー」は「tor 尖った岩山」「quay 波止場や海岸」に分解できるという。そして現在の「トーキー駅」の駅舎は現在「トァ駅torre」と呼ばれている駅にあったものが移設されて残っているという。
   これって、「tor 塔」に通じていることになるのでは、と感じてしまった。
  もちろん「つま先 toe」にも音韻相通してしまう。
  そうすると貴卑同源ならぬ凸凹同源を介して 「ほこら洞どう」 とも関連付けることができる。
   だからと言って、すごい発見というわけではない。ロシア語に堪能になると日本語とすごく音韻相通しているように感じられるらしい。シュメール語に堪能になれば日本語とのつながりが見えてくるという。タミール語については広く知られている。だが、こういうものの見方は相手の言語を知らない人にとっては無関心か、悪くすると愛国心を逆なでしかねない。


    さて、大修館から上梓された某大学教授の書いた本書のどこにも英語と日本語の音韻相通についてのコメントはない。あくまで読者の責任で妄想せよということであろう。
    しかし本書に紹介された、ダートムアにあるという古代に盛んだった巨石信仰の名残とも考えられている「ヘイトーHaytor」の写真を眺めていると、もともとは「heigh tor」だったのではないかという妄想が広がってくる。こういう妄想に身をゆだねるひと時はとても楽しい。それにしても、この本を手に取るまで、イギリスの巨石文化といえば、スト−ン・ヘンジ、すなわち春分点祈念の祭祀跡というワンパターンしか知らなかったのであるから、まだまだ予断に覆われたイギリスの紹介しか我々は得られていないことを肝に銘じるべきである。



   もう一つ、1196年に建てられたというトァ・アビーの一部が写真がのっていたが、12本の尖塔をもつ城壁で囲まれていた。
   さらに面白かった写真はパディントン駅の大時計のもので、真中に六つのひし形を集めたおそらく、六弁の〈ユリ〉をかたどったパターンがうつっていたことである。


疑似逆語序対〈トーキー・ヘイトー〉
疑似逆語序対〈ユリ・lily〉
『日本語に潜む英語の謎 ; 朱鳥社』
『日本語はどこから生まれたかー日本語・インド=ヨーロッパ語同一起源説 ; KKベストセラーズ
『世界最古の文字と日本の神々;風涛社
『日本語の起源;新風社』
縄文人のことば;医家出版社』