サブリミナル二題ーー3月8日のテレビから

(1)放送大学;人類学研究’10
   途中から見たのだけど、インドネシアで野生動物保護の活動をしている講師が、自分の実践を踏まえて講義をしていて、まとめに入った。そこで、日本がこういう活動をする理由として二点を取り出していた。一つ目は、ニューギニア原生林の破壊によってつくられたパルプの供給先が主に日本であること。これは問題ない。
    だが二点目は恐るべきものだった。世界地図が示され、日本国の形はみにくく肥大させられ、ほとんど旧満州国とみまがうほどの形で示されていた。一方、長年環境先進国を名のって日本の科学的捕鯨調査活動を妨害し続け、本年めでたく活動を停止に追い込んだオーストラリアはスリムに表現されていた。
    これは環境破壊の程度を国別に客観的に表現したものだという。
    だが、これは第二次大戦前に日本人をJAPとなづけ、カリカチュア図の中で誇張してとりあげた手法とたいして変わりはない。こういう絵画図像を取り上げるときには、その両義性と根拠のあやふやさを検討するために取り上げるべきである。
     それなのに、それを日本の大学メディアを使って、日本人講師がなんの注釈もなしに垂れ流すということは自国と自国民に対する侮辱になる、あるいはそう取られかねない両義性をもつ、ということに気がつかない人たちが大学メディアを取り仕切っているのだとすれば、これは恐るべき知的頽廃である。


(2)NHKのドラマ『風に舞いあがるビニールシート
     不愉快になって、チャネルを切り替えたら上記のドラマがかかっていた。そこでは国連高等UNHCR弁務官の徽章旗を数秒間静止画像で流していた。
     今までの常識ではドラマというのは「フィクション」のことであり、むしろ現実の組織とは距離を置くのが常識ではないだろうか。WEBでみると2009年には放映されていたらしいから、今までだれも問題視しなかったのだろうか。
    NHKは広告宣伝をしないことと、ひき換えに視聴料を半ば税金どうように取り立ている。だから広報活動と宣伝活動との兼ね合いは一番神経を使うべき事項だ。営利企業を取り上げた番組でも、それなりの企業とNHKの攻防の程度が窺える。その攻防のすったもんだを想像しながら番組を見るのも楽しみになっている。
    だが、こうもあっけらかんと一つの法人を絶対化して、神聖化して無邪気に画像を垂れ流されては、NHKの知的衰退は極めれリ、と云うしかない。
    百歩ゆずって、「国連は日本国と等位」と認めても、その下位組織の一つである高等弁務官はいはば、外務省の所管する一法人に過ぎないのではないだろうか。アジアやアフリカやでは日本人が主催する多くの法人も活動している。それらの人々が日本の国旗を仰ぐように、高等弁務官の徽章旗を仰いでいるわけではないだろう。
    高等弁務官の徽章旗がそういう優越性を持つような映像を流すことで、多くの日本人に、日の丸同様の価値を無意識のレベルに刷り込むのは慎むべきだ。