2012-01-01から1年間の記事一覧

「役割語」よりも大事な「場面状況語」

「辞書の三省堂」は、関西言語学王国の商品「役割語」の普及定着に熱心なようである。だが以前に書いたようにもっと大事な「場面状況語」に無頓着な学者先生に頼っていては成功はおぼつかない。 「ミセ屋・メシ屋・洋食屋・ファミレス・居酒屋」 ;http://d.…

metonymy【あいまい母音・アクセント母音】

最近、放送大学で「正しいあいまい母音」についての講義が出てきたのでびっくりした。私が20年ほど前にアメリカ人の先生から習った時にはむしろ「細かい正確な発音にとらわれることなくアクセント母音を正しく発音する事に注力すべし」だと理解し、そして私…

〈着る・切る〉〈好き・嫌い〉の関連

まず誰でもすぐわかるのは〈着ない・切らない〉だが、そこでずっと止まっていた。 これは〈その気がない・それは気に入らない〉を仮構すべきなのだ。 例文は以下。 ・寒いので着るように勧めたが、その気が無いので着ない。 ・それが気に入ったので、切り取…

音韻イメージ〈経緯〉

昨年、菅首相から「脱原発ロードマップ」が発表されたが、これが漢字だと「行程表」となり耳で聞くと「工程表」と違わない。そうすると現在世の中で頻用される理系の「手順書」、文系の「手続き書」との違いは限りなく0に近づく。 従来から、このあたりの用…

動詞の可能形・終止形

学校文法では動詞の活用について以下のように整理する 【未然】【連用】【終止】【連体】【已然】【命令】 もう100年近く、こういうめちゃくちゃな体系を後生大事にしている業界って不思議な存在だ。これでは学習障害児が多産されるのも理である。そしてとき…

『それをお金で買いますか;What money can’t buy.』

NHKが一貫して広告宣伝している商品・マイケル・サンデル先生の著書を書店で見かけて不愉快に思って帰ってきたら,twitterに賛美文が入ってきて,さらに不愉快になって少し調べてみたら翻訳者はNHKの広告担当の小林 正弥 先生とも一緒に仕事をしてきた人だった…

John is taller than me.

上の文は、学校文法的には間違いで、以下が正しい。 John is taller than I am. という話を教えてくれたのはアメリカ人の英語の先生で、化学の教師では食べていけないのでモルガン・スタンレーの人事部にいたという変わった経歴の人だった。その上で,上の間…

音読はどうする?;「我が輩は猫である」

小説『我が輩は猫である』の連載が始まった1905年の頃についてwikiで調べてみると、なんと、小泉八雲の後任として第一高等学に招聘された漱石は、その「分析的な硬い講義」が不評で、学生達は八雲の留任運動を行った、とあった。ちょうどその頃日本は日露戦…

判断・断定(3);古代中世の接続詞〈が〉

『話し言葉の日本史;野村剛史』を読んでいたら、以下の論考の続きになる例文が出てきた。 「 判断・断定(1);語末〈のです・んです〉 http://d.hatena.ne.jp/midoka1/20120320」 「いとやんごとなき際にはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり」 p…

漢字;零

CASIOの電子辞書で【霊】を見たら以下の記述があった。 名詞たま。形や質量をもたない、清らかな精気 だが、「質量」は「大きさ」だから、これだと「形や大きさのない」となってしまう。つまり「形のない大きさ」を前提としていることになる。 もちろん藤堂…

四字熟語対「国家国民・国体国土」

「判断・断定(3)」の進捗が進みすぎて20枚を越えそうで困っている。疲れてワープロを閉じて床に入っても五時間くらいで、目が覚めると同時に半日分の文章が頭の中にたまっている。こういう状態が続くと必ず体をこわすので気分転換をしなければならない…

判断・断定(2);準体助詞「の」

前日の続き。経過はよく理解できなかったのだけど、現代日本語の準体助詞を「ノ型」「コト型」に2分して、また勝手な現代語訳をつけて、その屋上屋に意味不明な日本語理論を展開している例がみつかった。添削をしておく。 19 a ;いみじき愁へに沈むを見る…

判断・断定(1);語末〈のです・んです〉

「ミネルヴァ書房」から出ている、初学者向けの言語学の本をみていたら、「準体助詞の」という見慣れない用語が出てきた。例文を見ると竹取物語の中の「ほどなくまかりぬべきなめりと思うが悲しく侍るなり」を「間もなくかえらなければならないと思っている…

円周率3.14;非人情でよむ『天地明察』

小説の縦糸は9世紀に京都で採用された宣明暦に代わって、13世紀に元で採用された授時暦を改訂した貞享暦(大和暦)が17世紀末に幕府公認を得るまでの物語で、横糸に関算学が出てくる。両方とも、もともとは宣教師によってもたらされた西洋文物の輸入公認の流…

鎌倉古道;今泉

今泉(いまいずみ)には、建長寺の末寺の今泉(こんせん)寺と頼朝が勧請したといわれる白山神社があり、ここには「ムカデ」を模したというしめ縄がかかっている。さらには弘法大師を祖とする称名寺があるのだが、その縁起をみていくと師によって掘り出された…

皆保険での混合診療は原則禁止にすべき

1月に入って、母のかかりつけ薬局から、保証人の私宛に不可思議な質問書が郵送されてきた。内容は医師の処方薬の中でジェネリック薬品で代替できるものは代替してもいいか、というものであった。 なんでこういう判断を一般人にさせるのか、理解に苦しむ。 と…

形声形象;【阿字堂⇔十字堂】

『訓読みの話;光文社新書;2008』によると 漢字の訓読みは日本人だけが発明したわけでもないし、シュメール文字の訓読みというのもあるという話が実例とともに展開される。 その中に「米;シュメール文字由来字」についての話があっておもしろかったのでメ…

音幻〈ず・づ〉〈 じ・ぢ 〉

引き続き藤村由香氏の『記紀万葉の謎』。方法論的にはいきなり万葉集・古事記ということなので異論はあるが、個々の事例は参考になるものが多い。P28から引用しておく。 「高知生まれの友人の話を聞いて驚いた。彼女は「じ」と「ぢ」を特別意識もせずに区…

『煩悩の文法;ちくま新書』

以前日本認知言語学会の大御所池上嘉彦氏の「する・なる」日本語論を批判したことがあるが、関西言語学会の重鎮による新しいtrinity枠組み「体験・できごと・状態」を知ってまたまた不愉快になった。最初に出てきた以下の文例対が氏の日本語理解の根本問題を…

音幻〈城〉

藤沢市に住んで40年以上になるが、まだまだ知らないことが出てくる。3年前には「上村かむら」だということを知ったばかりなのだが、今度は「城神明社」は「たてしんめいしゃ」と読むのだそうだ。 ふーんと思っていたところ今日たまたま手にした『枕詞ー千年…