2007-01-01から1年間の記事一覧

直示法;〈について〉〈を〉〈が〉

思考実験のひとつです。 直示文 中間文 一般文 ○私、この道を行きます。 ×私、道を行きます。 ○私は、道を行きます。 ○私、この道について行きます。 ×私、道について行きます。 ○私は、道について行きます。 ×私、この道行をします。 ○私、道行をします。 ○…

音幻〈KIOSK〉

新聞で知ったのだけど、旧国鉄の駅の売店の名称を「キヨスク」から「キオスク」に正式に変更する動きがあるらしい。当初、「KIOSK」を「キヨスク」と読ませた理由については、当事者である旧鉄道弘済会が〈清く〉〈気安く〉のイメージを付加するためだったと…

「ODA予算 3位転落」

広辞苑には「転落」の意味が三つ出ている ①転がり落ちること ②落ちぶれること ③堕落すること さらに用例のトップに「首位から転落する」があがっている。googlで検索するともちろん最初にあがってくるのは物体の転落で、二番目が企業やスポーツ団体の首位か…

日本語の主語;「おひさしぶり」と「ごぶさた」

日本語教育の勉強を始めて、最初に出あったのが、水谷御夫妻の著書で、実際のボランティア・クラスでは高柳和子さんのご本を使うことになったので、私の経験は多くの日本語教師のものと少し異なっている。というのは両方とも survival Japanese を第一にして…

文と文体

そして今回柳父章の著書に触発されて、以下の文体こそが日本語の古層によこたわるパターンであることを確信できた。 対応文; ・そこデ息子ニ読書ヲ命じた〈主〉ハ、えらい事。 報告文体; ・そこで息子に読書を命じた〈主〉は、えらいミコトにございます。 …

「認知言語学による大和言葉祖語へのアプローチ」

2006年春から、あるオープン・カレッジで認知言語学の講座を聴講した時のレポートが上記の10枚ほどの作品である。内容は前半が先日書いた「構文論と統語論」を補完することになる「直示法」とか「直示文法」への試論で、後半は直示辞への考察になっている。…

〈subject〉 と 「てにをは」 と 〈もんく〉

『近代日本語の思想』の27ページで柳父章は三上の説を支持しながら以下のように書く。「それは、近代以後の日本は、西洋の文法理論をモデルとして受け入れた、というだけでなく近代の日本語じたいを、西洋文をモデルとして作り変えて来た、という事実である…

構文論と統語論

amazonへ行ってガチャガチャやっていたらキーワードとして以下の文字列が出てきた。 キーワード:文法論:形態論,構文論[統語論] びっくりしたし、今まで日本語文法の本を読むたびにわからなくなった原因がやっと得心できた。なんと、構文論と統語論は同じだ…

春分の日と日拝み信仰

『神と仏の間』という本が図書館の新着書棚にあったのを見かけて借り出した。日本古来の宗教観と仏教、修験道、そして教派神道と儒教までを民俗の中で通観しているもので、いろいろ参考になった。そうしたらきのう、偶然中沢新一による、當麻寺と折口信夫の…

抉りと刻み (その二)

BS朝日で「エイプマン」のシリーズが始まった。学校でならった「アルタミラの洞窟」と同じ時期の岩絵には線や点による格子が併記されているものが多くあるらしい。今晩の番組では、これをアフリカの部族の集団トランスやアメリカの催眠療法におけるトランス…

音幻〈八幡〉

2月22日の朝日新聞に岡田荘司氏のまとめた新しい神社分類結果が出ていた。後ほど紹介するが興味深い結果だ。だが記事全体は朝日新聞特有の客観主義的記述の装いのもと罵詈雑言を撒き散らす体になっている。その装置が別の研究者による講評という文体である。…

「南太平洋のブンラップ村   5」

今回は村長の一人が位を上がるための儀式が中心だった。基本的考え方は〈多く振舞えば多く偉い〉。中心になるのが供犠の豚の数。今回は20匹が目標で自家飼育で足りない分は親戚からの寄付やタロイモや女たちが3週間かけて織るという茣蓙との物々交換で調達す…

「抉りと刻み」 (その初)

『ときをとく』という1930年代うまれの学者を中心とした座談会の記録があって、その冒頭にでてくる田淵安一のエッセー。副題が「時間記号について発生論的考察」とある。著者は20年代生まれで美学を勉強した後、渡仏した画家。著者のここでの姿勢はあくまで…

「南太平洋のブンラップ村 4」

今回は新しいカヌーを作る過程を放映していた。彼らは海岸から近い高台の森の中で暮らしているので、そこで大きめの木を倒してから、くりぬいてカヌーの原型をつくる。 その後で木の霊に許しを乞いながら、海岸まで大勢で下ろしていくのだった。 小型車一台…

「南太平洋のブンラップ村 3」

DISCOVERY CHANNEL で1〜6回シリーズで放送されている。3回目を見たのだが、われわれの祖先の姿の何がしかが共有されているのかもと思うと興味ふかい。メモをしておく。1、「タロイモは大きい。ヤムイモは長い」 音韻は英語が入っているのであてにできない…

胎児にとっての刺激

先日、テレビから英語の番組が流れてきて、受胎から出産までの胎児の成長記録が紹介されていた。こういう生々しい番組は好きでないのだが聴覚発達のところで母音と子音の話が出てきたので最後までみてしまった。それによると子音より母音の方が羊水を通りや…

スペインとイスパニア

コロンブスがアメリカ大陸に行ったときの支援者がイスパニアの女王であることは知っていたし、それが現在のスペインであることも知っている。だが、なぜ表記が違うのかまでは気にしたことはなかった。 ところが今年になって中南米からきたばかりの中学生に日…

音幻;日の出

〈ひので〉という音韻はいつ頃から使われているのだろうか。 そのことが〈ぼこぼこ・でこぼこ〉を〈現象語・存在語〉と措定してみると大変気になってくる。〈出る・照る〉の関係も気になる。私が最初に国語学の「由緒正しいやまと言葉には語頭濁音はない」と…